研究課題
現在の看護職は、高度で、複雑に絡み合った問題への速やかな対応を迫られ,多角的に課題を発見する力や、創造的に解決策を考案し実行に繋ぐ看護実践能力が求められ、これらの力の育成には、看護学教育の約25%の時間を費やしている看護学実習は重要な役割をもつと捉えている。看護の実践能力は、看護師の社会人基礎力(リテラシー・コンピテンシー)と重なるものであり、看護学実習が、看護実践能力(リテラシー・コンピテンシー)の獲得につながるような実習カリキュラムの開発を目指して取り組んできた。看護師の社会人基礎力の獲得を形成的に評価する共通指標としてPROG(Progress Report on Generic skills:社会人実践力評価)を活用し、複数の看護系大学の、実習内容と実習前後のPROGテストの関係を縦横断的に調査し、看護学実習の教育成果(獲得できている能力と獲得できていない能力の要素)の検討を行ってきた。各大学共に実習後にPROGの総合スコアの上昇がみられたが、能力項目別での変化(上昇、下降)は様々であることを確認した。特徴的な変化として、実習後のスコアで下降があったのは、<協働力>,<行動持続力>であった。コンピテンシーの変化(上昇・下降)が著しい学生へインタビューをした結果、学生の課題発見力、実践力、親和力、統率力、自信創出力、行動持続力などが患者との関わり、グループ活動やカンファレンス、臨床からの指導による影響があることが解った。さらに、これ等の分析結果は、交流集会の開催によって全国の多くの教員研究者と共有し、看護学実習で看護実践能力(リテラシー・コンピテンシー)の効果的な獲得につながる教育設計について検討を図った。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
奈良県立医科大学看護研究ジャーナル
巻: 18 ページ: 43-51
巻: 18 ページ: 70-77