研究課題
本研究は、精神疾患患者と家族の地域生活促進を図る上で、患者の家族に希望と豊かな生き方への視点をもたらす家族支援支援体制の構築に寄与し、支援の方策を提示することを最終目的とし、家族への支援体制と支援のあり方を策定するものである。地域で精神疾患患者の支援を行っている支援専門職者を対象に、対象者の背景情報および地域での精神疾患患者の家族支援への志向、支援の実践頻度と重要度を測定するための6側面の下位尺度、30質問項目について、大変重要である・いつも行っている(4点)~全く重要ではない・全く行っていない(1点)の4件法のweb調査を実施し、143名からの回答を得た。分析の結果、支援専門職全体および訪問看護師の支援の傾向や課題を把握した。支援専門職全体の結果として、6下位尺度において実践頻度の高い支援は「相手の立場に立って家族の話を聞く」「家族の悩みや不安を受け止める」、実践頻度の低い支援は「必要に応じて患者から家族への感謝を表すことばを引き出す」「お互いに協力しあえるように患者の状況を家族一人一人に伝える」であった。重要度の高い支援は「当事者・家族との関係性を維持し、発展させる行動」、重要度の低い支援は「家族構成員間の関係性を維持し、強化する行動」であった。30質問項目において実践頻度の高い項目は、相手の立場に立って家族の話を聞く、家族の悩みや不安を受け止めるであった。重要度の高い項目は、家族の悩みや不安を受け止める、相手の立場に立って家族の話を聞くであった。本調査によって家族の立場に立った支援が多く実践されていたことが示された。しかし、支援の重要度の認識は高いものの実施頻度は低い項目、さらに、家族支援の研修や家族支援の経験の有無が実施頻度や重要度の認識と関連する支援項目もみられた。家族への支援体制充実のために、多職種との協働の促進や家族への支援方法習得の必要性が示唆された。
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