研究課題
令和2年度に佐賀県内で新規透析導入した患者281名のうち通院中の医療機関に協力が得られた139名に自記式質問紙調査を行った。2型糖尿病患者37名(26.6%)のうち教育入院歴がある患者17名は、教育入院歴がない患者20名に比べ、腎症発症から透析までの期間が有意に長かった(6.1年対3.4年、P=0.04)。約7割の患者が栄養指導を受けていたが、約7割が食事療法を困難であると回答した。同患者281名のうち国民健康保険・後期高齢者医療保険の過去6年間のレセプトデータの解析に同意が得られた81名(糖尿病性58名、非糖尿病性23名)を、佐賀県内在住の国民健康保険・後期高齢者医療保険加入者のレセプトデータ(対照群)と比較した。本調査の対象者81名のうち糖尿病を原疾患とする58名は、対照群に比べ6年前(2015年)よりグルコース、HbA1c、GA(グリコアルブミン)の測定頻度が多かった。GAは腎不全患者の腎性貧血に対する治療を行うことにより、HbA1cが見かけ上、低値になるため特に透析導入2年前から測定回数が増加していた。また、対照群と比較し、Crおよび尿一般の測定回数といった腎機能関連検査は、6年前より年間測定回数が多く、既に腎機能が低下していた可能性が高い。それにも関わらず、尿蛋白定量の測定回数は増加しておらず、腎機能の評価に用いられていない可能性がある。2015年度においては尿アルブミン定量が糖尿病性腎症2期よりも既に進行していたため測定頻度は増加していない可能性があった。
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日本糖尿病情報学会誌
巻: 20 ページ: 13-18