本研究は慢性呼吸不全患者に対する遠隔看護の長期効果の検証として、研究協力機関に依頼し対象者の確保後、研究説明に同意が得られた慢性呼吸不全状態にある在宅療養患者を対象に、遠隔看護システムの運用を予定し研究活動を行なった。これまでの研究で慢性呼吸不全患者に対して効果的であった遠隔看護の質を、臨床看護師による実践能力により高めることで、より早期に医療介入を受けることが可能となり、急性増悪を防ぐことができると考えた。急性増悪を防ぐことで、患者の生命予後の延長やQOL向上に寄与できると考えた。 今年度の目的は、過去の急性増悪に関する情報から急性増悪兆候を認識することを可能とするAIプログラムを開発することであった。そのため、研究協力者に実践活動を依頼し、実際に遠隔看護プログラムを実践しながら、日々のバイタルサインや呼吸器症状に関するデータを得ることができた。実践開始から急性増悪に至る症例もあったため、そのデータをもとに急性増悪認識AIプログラムの開発を行った。しかしながら、研究対象者が急性増悪によりデータ収集が困難となってしまい、現時点では開発途中の状況となっている。システム開発担当者との協議を行い、現在のデータのみでの急性増悪認識AIプログラムの開発を行っているが、開発途中の状況である。一方で、遠隔看護システムを実践した研究協力者からは、運用上の課題や成果について多くの意見が得られており、それらをもとに臨床看護師が遠隔看護を実践するための検討を行った。成果報告として、これまでの成果の研究内容について研究論文による報告や学会報告を行った。
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