研究課題/領域番号 |
19K10863
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
糸井 裕子 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20383094)
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研究分担者 |
小野崎 美幸 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助手 (00424052)
吉田 昌 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (20245640)
鈴木 明美 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 講師 (20525183)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がんサバイバー / 視覚障がい者 / 緩和ケア / ニーズ / 医療 / 地域 / 在宅 |
研究実績の概要 |
本研究は、視覚障がいのあるがん患者の医療・在宅におけるQOL向上のための緩和ケアの開発を目指すことである。そこで、「視覚障がいのあるがん患者の医療・在宅における課題とニーズの特定」を目的に、視覚障がいのあるがんサバイバー20名にインタビューを行い分析した。この内、視覚障がいのある乳がん患者の医療・在宅における課題として「がん治療による視力への影響に不安」「ホルモン療法による副作用への対処方法」「創傷ケアに対する対処方法」「治療に対する説明と同意の方法」「視覚障がいを考慮したコミュニケーションツールの不足」の5カテゴリと11のサブカテゴリが見いだされた。主なサブカテゴリは、〈がんの手術をしたことで、結果的に失明に至ったことへの身体・心理的苦痛は大きかった〉〈仕事と治療を両立するため症状が強いホルモン療法を中断し抗がん剤を続けた〉〈創傷部のセルフケアに苦慮した〉〈治療に対する同意書への直筆署名(家族等)以外の方法が認められない〉〈がん患者の会は見えることを前提とした会話であり歩調を合わせるのがきつい〉〈視覚障がい者を理解した行動支援がされていない〉などであった。この結果を基に残りの結果を分析した。また、視覚障がいのあるがん患者の全人的痛みと影響する因子についてアンケートを実施し、現在分析中である。 視覚障がいのあるがん患者の医療・在宅における課題を多職種間で共有し、QOL向上のための対応策の糸口を見出すために、ワークショップ「視覚障がいのあるがん患者の医療・在宅における課題への対応策を考える」を開催した。がん看護専門看護師による「視覚障がいのあるがん患者の医療現場の支援の現状」、視機能療法士による「視覚障がいのある患者様への医療現場における対応について」の講演を踏まえ、ワークショップの参加者と対応策を討議した。この結果は、これから検討する対応策に生かされる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の進歩状況は、やや遅れている。この理由は、以下の通りである。 新型コロナウイルス感染症蔓延により、インタビュー調査、アンケート調査が遅延したため研究計画が遅れた。しかし、インタビュー調査とアンケート調査は終了し、分析、結果まで終了している。
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今後の研究の推進方策 |
今後予定している研究計画は、インタビュー調査、アンケート調査結果で得られた視覚障害のあるがん患者の医療・在宅における課題やニーズに対して、対応策を見出し、資料(墨字版、英語版、点字版、音声版)は、「がん診療連携拠点病院」および「視覚障害当事者団体」に配布するとともに、我々のWEBサイトに掲載する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症蔓延により、インタビュー調査、アンケート調査が遅延したため研究計画が遅れた。前年度予定していた「視覚障害のあるがん患者の医療・在宅における課題とニーズに対する対応策(緩和ケア)の普及のための資料(墨字版、英語版、点字版、音声版)の作成と「がん診療連携拠点病院」「視覚障害当事者団体」への配布、我々のWEBサイトへの掲載にかかる費用が2022年に繰り越されたため額が大きくなっている。
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