研究課題/領域番号 |
19K10878
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
梶谷 みゆき 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00280131)
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研究分担者 |
荒木 さおり 島根県立大学, 看護栄養学部, 助教 (00839243)
林 健司 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (10462037)
加藤 さゆり 島根県立大学, 看護栄養学部, 助教 (10809338)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳血管障害 / 家族看護 / 家族機能 / 介入研究 / FAD / SCAT |
研究実績の概要 |
本研究は、回復機能血管障害患者と配偶者を対象とし、回復期リハビリテーション医療施設から在宅療養移行期に、両者の「感情の安定化」と「療養生活における目標の共有化」を働きかける看護師による3回の面談を通して、家族機能の維持・改善を図る介入研究である。 2019年度は、これまでの研究による蓄積事例に加え、新たに2事例を加え計9事例の介入評価を実施した。家族機能評価は、家族システム論を基盤とするFamily Assessment Device(FAD)を用いて介入前後に測定した。家族の個別的かつ多様な背景を加味して分析する一般化線形混合モデルの手法を用いて介入前後比較を行ったが、9事例においては7つの下位尺度における有意な差は認められなかった。一方、介入した9事例の面談記録をStep for Cording and Theorization(SCAT)の手法を用いて質的に分析した結果、患者と配偶者のそれぞれの感情表出・言語化とともに、コミュニケーションを促進したことによって、意思疎通や情緒的な側面における家族機能の安定化もしくは家族機能改善の可能性を見出した。 「感情の安定化」と「療養生活における目標の共有化」を図る看護介入プログラムの有効性については、事例の蓄積が必要と考えている。介入前後の量的な評価において、明確な差を確認できていないが、事例の少なさによるものか、家族の個別性・多様性による量的比較の限界か、今後検討していきたい。COVID-19対応により医療施設でのデータ収集が困難な状況であるが、介入事例を蓄積していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
回復期脳血管障害患者と配偶者に対する家族機能改善を図る看護介入研究であるが、患者と配偶者双方の同意を得ての研究であること、在宅療養を前にした研究であることから、対象者が得にくくなっている。またCOVID-19対応で医療施設への参入が難しくなったため、事例の蓄積に影響が出ているため研究の進捗状況がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の手法、介入評価方法については確立しつつあるので、計画した研究方法で進めていきたい。介入事例の蓄積が最大の課題であるため、回復莉リハビリテーションを展開している複数の医療施設とのコンタクトをとり研究の推進を図りたい。 回復期脳血管障害患者と配偶者だけでは対象確保が難しい場合は、親子等の家族に対象を拡大することも検討し、家族背景別の比較も考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者3名が請求する予定であった研究費の執行が行われなかったため、150,000円が差引額として残った。令和2年度において、データ収集や学会発表等で執行する計画である。
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