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2019 年度 実施状況報告書

NIRSを用いたALS患者の認知レベルの評価とコミュニケーション支援を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 19K10880
研究機関大分県立看護科学大学

研究代表者

伊東 朋子  大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (30305841)

研究分担者 松成 裕子  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00305848)
品川 佳満  大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30347702)
松川 寛二  広島大学, 医系科学研究科(保), 名誉教授 (90165788)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードALS筋萎縮性側索硬化症 / 認知レベル / TLS完全閉じ込め状態 / NIRS
研究実績の概要

本研究ではNIRSを用いて、ALS患者の脳血流状態を計測し、認知レベルの評価を行い、その評価に応じたALS患者へのコミュニケーション支援のあり方について3か年計画で検討するものである。令和元年度の計画は健常者(ALS好発同年代:60代)の脳血流を測定し、正常の脳活動レベルを明らかにするための基礎的研究として、若年健常者を対象に嗅覚刺激による脳血流量の変動を検討した。耳鼻科疾患等がなく快臭と不快臭を含む基準臭を嗅ぐことが可能な健常な成人30名を対象とした。ALS患者は多くが人工呼吸器を装着しており、その状態を想定して、本研究では超音波ネブライザーを使用した嗅覚刺激とした。閑静・暗所な部屋で椅坐位になり、NIRSを前頭部眼窩上に装着後、閉眼してもらい、安静時と基準臭吸入時のoxy-Hb変化量を計測した。休憩時間にVAS(Visual Analog Scale)での快不快の程度の記入と自由記述をした。測定した波形は、安静時のoxy-Hb変化量を基準とした基準臭吸入時のoxy-Hb濃度を変化指標とした。主観的なニオイの評価であるVASの平均値はクラスター分析を行い、客観的なニオイの評価であるoxy-Hb変化量は一元配置分散分析を行った。その結果、Oxy-Hb濃度変化はKruskal-Wallis検定にて、有意差は認められなかったが、快臭では変化量が小さく、不快臭では変化量が大きい傾向がみられた。前頭前野の脳血流量において本研究では、快臭での減少と、不快臭での増加の可能性が示唆された。今後の研究の方向性としては、個人差の出にくい基準臭の選定や、TLS-ALS患者の保全部位といわれている嗅覚と視覚の内、視覚をも対象にしたイラストや色紙を提示しながら嗅覚刺激を与えることによって前頭前野への脳血流量にも影響を与えることが出来るのではないかという方法論上の示唆を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、操作因子の抽出及び実験方法の最終確定を行うと共に、研究代表者は研究分担者との間で脳波及び事象関連電位、NIRSに関する最新の情報の収集を行い、実験の方向性を再度確認し、認知症評価におけるBISとNIRS計測の妥当性及び評価法についてもすでに検討している。

今後の研究の推進方策

次年度はALSの重症度分類による患者の脳血流から認知症のレベルを評価する。重症度分類によるALS患者を対象にNIRSを用いてoxy-Hbを計測し、さらにALS患者、ALS-D患者(認知症を伴うALS患者)、ALS-TLS患者(完全閉じ込め状態にあるALS患者)の3群分けした被験者に思考、視覚、嗅覚の各刺激を負荷し、oxy-Hbを計測する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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