研究実績の概要 |
治療中のがん患者のセルフケア能力とストレングスモデルの融合型看護プログラムの開発」に向け、がん患者のセルフケア能力尺度(吉田・神田)を活用した看護プログラム(案)を作成し、高崎健康福祉大学倫理審査の承認を得た。その直後にコロナウイルスの感染が拡大しデータ収集が困難となったことから、上記の看護プログラムに関して、がん患者の『希望』を考慮する看護を強化するため、研究テーマ「がん患者の『希望』に焦点をあてた看護研究の動向と課題-セルフケア能力との関連の考察-」に取り組み、以下の結果を得た。がん患者・セルフケア・希望のキーワードが含まれた国内外で過去10年間に掲載された51文献を対象に、研究結果の概要をカテゴリ化し、合計5カテゴリ12サブカテゴリが形成された。得られたカテゴリ【希望の内容】には,サブカテゴリ≪初回手術療法後の患者の希望の内容≫と≪進行がん患者の希望の要因≫が形成され、他に【がん患者が希望を持ち続けるプロセス】などのカテゴリが形成された。以上の研究結果から、特に【希望の内容】とセルフケア能力との関連については【希望の内容】には「がんに負けず前向きに生きたい」(板東ら, 2020)や「制御されている感覚から積極的に離れること」(Mok,et.al. 2010)など、ポジティブな積極的思考が含まれていることから、がん患者のセルフケア能力の[がんの存在にとらわれないよう思考を和らげ進む能力]と関連していると考えられた。セルフケア能力には 気持ちを切り替える能力, 経験を意味づける能力などが含まれる(吉田・神田,2012)ことから, 【希望の内容】とセルフケア能力との対応が確認できた。この論文は令和4年度に日本看護研究学会誌への掲載が決定した。 今後、がん患者のセルフケア能力とストレングス、さらに患者の希望も関連させながら支援する看護モデルの開発が課題である。
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