研究課題/領域番号 |
19K10884
|
研究機関 | 日本保健医療大学 |
研究代表者 |
藤澤 博子 日本保健医療大学, 保健医療学部看護学科, 助教 (30794705)
|
研究分担者 |
熊坂 隆行 日本保健医療大学, 保健医療学部看護学科, 教授 (80347385)
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 動物介在療法 / 代替療法 / 自律神経 / 終末期患者 / 唾液コルチゾール / Quality of Life |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、犬による動物介在療法を終末期患者に行なったときの患者への影響を検証し、動物介在療法の成果が期待できる患者と期待できない患者を明らかにすることである。これにより、動物介在療法による代替療法が有効な終末期患者を特定する。 介入群と待機群に分けて調査を実施している。調査は1人の調査期間を8週間とし、①心電図(1回/週、動物介在療法実施直前と実施直後と30分後、1時間後、2時間後のR-R間隔の変化をモニタリングする。)、②気分(1回/週、療法実施前と実施後に気分の変化をビジュアルアナログスケールにて測定する。)、③唾液(8週間の介入期間において、介入開始前連日2回、介入開始後に隔週1回、介入終了日の、それぞれ9時と16時に唾液を採取し、唾液コルチゾールの変化からストレス変化を測定する。)、④診療記録(血圧、脈拍、酸素飽和度、疼痛の情報を得る。)待機群の調査は、自由に過ごす時間の30分前後で計測し、その他の方法は介入群と同様に行っている。 10月から調査を開始し、がん疾患の終末期にある患者を対象にしたところ3名の調査を行ったが、調査期間中に3名とも状態悪化と死亡退院という経過をたどり、データを得ることができなかった。さらに、2月末頃から新型コロナウイルスの影響で調査自体が実施できない状況となっている。そのため、データがまだ得られていない現状にある。 今の調査段階では意義や重要性を示すことのできる研究成果は得られていないが、動物介在療法の実施中の様子や実施後の発言等からも調査を進める意義があると考える。この研究によって動物介在療法の効果が得られれば、終末期患者のQOLの維持・向上が期待できると同時に日本でも代替療法として推奨できるという方向性に変わりはなく、研究の成果を得るため引き続き調査を実施していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
介入群と待機群に分けて調査を実施している。調査は1人の調査期間を8週間とし、①心電図(1回/週、動物介在療法実施直前と実施直後と30分後、1時間後、2時間後のR-R間隔の変化をモニタリングする。)、②気分(1回/週、療法実施前と実施後に気分の変化をビジュアルアナログスケールにて測定する。)、③唾液(8週間の介入期間において、介入開始前連日2回、介入開始後に隔週1回、介入終了日の、それぞれ9時と16時に唾液を採取し、唾液コルチゾールの変化からストレス変化を測定する。)、④診療記録(血圧、脈拍、酸素飽和度、疼痛の情報を得る。)待機群の調査は、自由に過ごす時間の30分前後で計測し、その他の方法は介入群と同様に行っている。 3年間の研究計画としては、1年目の10月までに研究実施のための準備とプレ調査まで終了させ、10月から2年目を通しての約1年半を調査期間に当てている。調査は待機群と介入群ともに8週間とし、調査は100名を予定している。 現時点で2年目に入っているが、調査を開始した対象者が全員中断となったこと(状態悪化と死亡退院)、新型コロナウイルスによる影響により2月末頃から今現在に至るまで調査自体が実施できない状況にあることの2点から、データがまだ得られていないため、進捗は少し遅れている状況である。 より多くのデータを得る必要があるため、在住している埼玉県と調査している山梨県の自粛解除や調査施設の部外者の立ち入り許可が得られ次第、速やかに調査を再開する。 その他の変更や問題はないため、調査が再開できれば計画通りに進めて行く。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、おおむね研究計画書通りに進める。しかしながら3つの課題が生じたため、一部変更することで対応し研究を遂行する。 まず、研究計画では対象者をまず待機群に割り付け、調査は8週間とし、8週間後すぐに待機群を介入群に入れ替えてさらに調査をする予定であったが、終末期間患者の在院日数が16週間に至らないため8週間を4週間に変更とする。有意差を得るために十分な期間を予定していたが、在院日数が課題となった。自身の研究においても参考文献においても、4週間の実施期間で優位差を得ているため、この変更については妥当と考える。 次に、介入群100名と待機群100名を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で調査期間が短縮されることとなったため、対象人数の確保が課題となった。そのため、参考文献から介入群50名、待機群50名に変更とする。さらに、対象者はまず待機群に割り付け、調査後すぐに待機群を介入群に入れ替えて調査をする予定であったが、介入群と非介入群に割り付け、入れ替えとしないことに変更する。 最後に、終末期の患者を対象とする中でも、がん疾患の終末期にある患者のみを調査していたが、状態の悪化や死亡退院等の経過をたどり調査が中断となり、データが得られないという課題が生じた。骨折、心臓病、老衰により終末期を迎えて入院となっている患者が多いため、疾患を特定せず終末期にある患者を対象に継続して行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査項目のうち、心電図は1対象者の8週間の介入期間において、動物介在療法実施直前、実施直後、30分後、1時間後、2時間後の5回で計40回の測定をする。唾液は1対象者の8週間の介入期間において、介入開始前連日2回、介入開始後に隔週1回、介入終了日の、それぞれ9時と16時に唾液を採取し、唾液コルチゾールの測定を計12回行う。 予定としては調査は10月から開始し、1ヵ月に10名以上調査するはずであったが、対象者が確保できなかったことと新型コロナウィルスの影響で調査自体が実施できなかった理由から、旅費と上記の調査に使用する消耗品費と人件費に使用するはずの費用が大幅に繰り越す結果となった。 調査を再開することで、主に消耗品費と人件費として使用する計画である。前倒し支払を受けた残額が、元々の次年度使用分となる考えである。
|