研究課題/領域番号 |
19K10886
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐々木 晶子 昭和大学, 医学部, 講師 (10398688)
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研究分担者 |
鶴谷 純司 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30319686)
中村 清吾 昭和大学, 医学部, 教授 (70439511)
沢田 晃暢 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (80266105)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハンドセラピー / 化学療法誘発性末梢神経障害 / 乳がん患者 |
研究実績の概要 |
<具体的内容> 乳がん患者に用いられるタキサン系抗がん剤は化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)による手指のしびれを引き起こすため、しびれ改善に有効な対処方法が強く望まれている。我々は2018-2019年にかけて抗がん剤投与によりしびれを感じる乳がん患者を対象に、独自に考案したハンドセラピー施術をおこないアンケートを用いてしびれの改善効果を主観的に検討した(「人を対象とする研究等に関する倫理委員会」承認番号2569)。乳がん患者50名を対象にハンドセラピー施術前後のVAS評価の変化を観察したところ、しびれ度合いが軽度および中程度で有意に改善された。しかし、しびれの度合いが重度の患者では有意な変化は観察されなかった。以上のことから、タキサン系抗がん剤を使用し軽度から中程度のしびれを感じる患者に、ハンドセラピー施術はしびれ改善に有効であることが明らかになった。 <研究の意義、重要性> 乳がんに罹患する患者は、家庭において家事の中心者であることが多い。乳がんの治療で使用する抗がん剤により引き起こされるCIPN(手指のしびれ)により感覚が鈍り、火傷や包丁でけがをする可能性があるなど日常生活を営む上で困難が多い。加えて、いつまで続くのかわからない不安感や、治療後、寛解するか分からないストレスを抱えることで生活の質の低下を引き起こすことが考えられる。手指しびれの程度や出現時期は個人差がある。ハンドセラピー施術は症状が続くことでの不安や、しびれの症状を和らげる方法、さらに対話することで心を安定させる役割も担う。ハンドセラピー施術は補完代替法として確立する意義があり、患者のQOL改善が期待される重要な研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎週水曜日の午前中、定期的に乳腺外科の外来でハンドセラピー施術をおこなうことで乳腺外科の医師および看護師の信頼と協力を得られた。その結果、しびれ症状を抱える多くの患者の紹介を受けることができた。このため目標とした症例数である50症例を達成できた。 しかし、これまでの評価は患者アンケートによる主観的評価であったため、今年度からは客観的評価を併せておこなうことを計画している。客観的評価はハンドセラピー施術前後の血圧と脈拍、心拍変動を測定して交感神経と副交感神経のデータから、ハンドセラピー施術の有用性を証明する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の評価は患者アンケートによる主観的評価であった。この評価によりハンドセラピー施術は、しびれを軽度に感じる患者に有効であることが明らかとなった。 この結果をより、精度の高い研究に発展させるために今年度からは客観的評価を併せておこなうことを計画している。客観的評価内容はハンドセラピー施術前後の血圧と脈拍、心拍変動を測定して交感神経と副交感神経のデータを集める。今年度以降は、主観的および客観的データの両方を照らし合わせて解析をおこない、ハンドセラピー施術の有用性を証明する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、ハンドセラピー施術に対するアンケート調査によって評価をおこなった。 そのため、必要な消耗品の購入は計画した金額よりも少額になった。次年度は客観的評価をおこなうため、初年度の余剰金を用いて物品を購入する予定である。
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