研究実績の概要 |
本研究の目的は,在宅療養中がん患者が災害による治療中断のリスクとその支援についての課題を明らかにし,災害対策支援システムを構築することにある.2019年9月~2021年8月,熊本地震を体験したがん患者のケアに携わる看護管理者及び認定看護師等4名に半構造化面接法を実施した.病棟・病院を超えたネットワ-クによる支援の重要性,LINEによる緩和ケアスタッフの励ましあいと情報共有,震災時がん拠点病院が中心となり緩和ケア病棟の空床状況を情報発信してくれたことから緩和ケア病院連携情報共有システムが必要であることがわかった(第36回日本がん看護学会学術集会発表).2022年9月がん患者の調査がCOVID-19の発症で不可能となった為,がん治療の経験者,がん治療中の成人患者を全国の都道府県から(株)マクロミル社でリサ-チ業者のモニターから抽出した560名に調査した.その中で実際にがん治療中に災害を体験した273名(48.8%)の結果は,精神的に不安定になった109名(40%),睡眠不足が続いた77名(28.2%),自分の体調を考える暇がなかった51名(18.7%),疲労で集中力の低下を自覚した48名(17.6%)等であった.災害時に支援を受けた内容は,精神的支援72名(26.4%),受診情報64名(23.4%)や内服薬の入手方法51名(18.7%)を教えてもらった.緩和ケアを受けた40名(14.6%),化学療法や放射線療法の副作用に対応してもらった(12.1%).感染予防の指導を受けた(11.0%).化学療法の継続を教えてもらった(11.0%).災害時の医療支援を受けた(10.6%),避難所では特別に配慮してもらった(10.6%)等であった.補助事業期間は終了となるが,がん患者の支援内容の実態及び課題が把握できたので,投稿の準備をしているところであり,システム構築に向けて研究は進めていく.
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