研究課題/領域番号 |
19K10896
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
松田 千春 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主任研究員 (40320650)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ALS / 難病 / 気道ケア / 呼吸管理 / 人工呼吸 / 球麻痺症状 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、臨床経過の中で球麻痺と呼吸障害がほぼ全例で出現し、相互に絡み合いながら重度化するため、それぞれの客観的評価がし難く、気道ケアに関する対策がとりにくい。本研究の目的は、ALSの臨床経過における球麻痺症状と呼吸機能の関係を明らかにし、気道ケア法の選択基準を確立し、苦痛症状緩和のための看護ケアにつなげることである。初年度は以下の成果をあげた。 1.ALS患者14名に1~2か月ごとに、球麻痺症状、呼吸機能、随伴症状を脳神経内科の外来で前向きに調査し、臨床経過を確認した。2.呼吸困難感の訴えがほとんどない2例の認知症を伴うALS患者(ALS-D)のFRS-B とFVCは有意な相関を認めた。ALS-Dは呼吸困難の訴えが認知症でマスクされる可能性があり、包括的な評価が必要であった。さらに、そのうち1例において、全日非侵襲的人工呼吸(NIV)となる病歴26か月の療養行程(中山ら、2016)を明らかにした。患者は、症状不安定と安定な時期を行き来しながら進行し、呼吸障害への対応と重点的に支援課題の解決のための体制整備を行うことで安定を得られていた。3.在宅で療養している気管切人工呼吸(TIV)45例について、看護師・保健師への聞き取りによる横断調査を実施し、口腔症状や呼吸障害に関する課題を抽出した。そのうち3例について、3~6か月ごとに訪問による参加観察調査を継続している。 初年度は、これら球麻痺症状と呼吸機能の変化と、臨床症状に伴う課題を蓄積し、2年目以降整理・分析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ALSの全経過の呼吸機能および球麻痺症状を評価し、球麻痺症状と呼吸機能の関係を明らかにすることである。これまでの研究成果をもとに、病初期から呼吸機能および球麻痺症状の測定を開始することができており、計画全体の初年度としては順調と判断した。今後はより多数例かつ経時的・前向きな調査を行い、変化を詳細に観察する必要があるが、病初期から、医療処置を要する時期に共通して測定可能な機器・器材の選択には至っていないことは、次年度以降の重要課題である。
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今後の研究の推進方策 |
経過追跡対象者の呼吸機能と球麻痺症状の経過について、データの蓄積を重ねる。さらに、ALSの多様な症状について検討していく。病初期から、医療処置を要する時期に共通して測定可能な機器・器材については、脳神経内科の医師、呼吸ケアチーム、歯科専門職らの専門性の高い有識者と比較検討を重ねながら選択していく予定である。懸念すべきは、感染対策である。肺活量や咳嗽力の測定方法について、どのように継続していくことが可能か、病院内の感染対策委員や呼吸ケアチームと検討を重ねていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に、データの整理および器材の検討を行い、その結果を基に対象の臨床経過に則した器材を選択し、分析のためのパソコン等購入予定であったが、器材の選定に至らなかったため、未使用額が生じた。次年度に器材が選定でき次第、未使用額はその経費に充てることとしたい。また、呼吸機能および球麻痺症状の測定のための感染対策を講じ、経費に充てる必要が生じる。
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