研究課題
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、経過の中で球麻痺と呼吸障害が相互に絡み合いながら重度化するため、それぞれの客観的評価が難しく、気道ケア法の選択や、最適な実施のタイミングの選択に影響する。最終年度は、呼吸管理を実施するALS患者の全容を把握すること、呼吸状態や気道ケア法に影響を与える臨床的特徴について明らかにするため、下記内容を実施した。1.2010年から2022年に神経専門病院1施設に入院したALS人工呼吸器使用患者について、臨床情報を後方視的に調査した。ALS医療の時代的変遷を考慮した上で、臨床情報間の関係を分析中である。2.進行期にあたる気管切開下陽圧換気中のALS患者の舌肥大と臨床的特徴との関係を明らかにするため、前向き調査を行った。追跡調査中に舌肥大例は増加し、舌肥大は、体重、栄養摂取量、コミュニケーション障害に関係していた。追跡期間中、新たに舌肥大を発症した患者では、発症しなかった患者よりも、コミュニケーション障害が重度化し、多変量解析により、コミュニケーション障害が関係していることが明らかとなり、最終年度に論文化に至った。3.非侵襲的換気療法を実施するALS患者のオピオイド使用と体格指数(BMI)の関係について分析した。発症からオピオイド開始までの期間が短い例では、オピオイド使用量が多い傾向にあった。一方で高用量オピオイド使用例ではBMIの減少は抑制されていた。高用量オピオイドの使用が病状を安定させた可能性が示唆された。
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Neurological Sciences
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10.1007/s10072-023-06646-7
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