研究課題/領域番号 |
19K10904
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70315323)
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研究分担者 |
上田 貴威 大分大学, 医学部, 准教授 (30625257)
奥田 健太郎 大分大学, 医学部, 講師 (60284808)
伊東 弘樹 大分大学, 医学部, 教授 (50420641)
佐藤 雄己 福山大学, 薬学部, 教授 (00570087) [辞退]
大野 夏稀 大分大学, 医学部, 助教 (20818596)
畑中 明子 大分大学, 医学部, 看護師長 (20839154)
佐藤 千鶴 大分大学, 医学部, 副看護師長 (20839162)
井川 梨恵 大分大学, 医学部, 看護師 (30839139)
末弘 理惠 大分大学, 医学部, 教授 (30336284)
田中 遼大 大分大学, 医学部, 准教授 (30781736)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 術後疼痛 / 症状マネジメント / アルゴリズム / 痛みの評価指標 / ERAS / マルチモーダル法 / 薬物動態 |
研究実績の概要 |
エビデンスに基づく術後疼痛の評価指標と鎮痛アルゴリズムの構築に向けて、A病院で術後疼痛の緩和に携わっている外科系の5診療科(消化器外科、整形外科、呼吸器外科、腎泌尿器外科、産婦人科)の医師6名とその診療科の病棟看護看護師11名、麻酔科医4名に対して①術後疼痛のマネジメンに対する認識②症状マネジメントの実際、③これまでの術後疼痛のマネジメントに対する評価と課題について、半構成的面接を行い質的に分析した。 分析の結果、術後疼痛の個人差や一律な鎮痛法であるとの認識を持つ中で、積極的に痛みをとる姿勢で臨もうとしているが、鎮痛剤の使用には慎重な姿勢も見られた。術後疼痛の評価や鎮痛法では、薬物動態やERASで推奨される方法が十分活用されていない状況であった。術後疼痛の症状マネジメントに対する評価では、早期離床できているので術後鎮痛の目標は達成できているが、患者からすると鎮痛が十分でないかもしれないと評価していた。より効果的な鎮痛と患者の満足が得られる鎮痛法を実施するために、共通する術後疼痛の評価指標や鎮痛薬の投与法について検討する必要性が示唆された。 この結果を踏まえ、痛みの出現と鎮痛剤使用の判断に用いる評価指標1と鎮痛剤使用後の効果と追加投与の判断に用いる評価指標2を作成した。鎮痛アルゴリズムは、①小規模から大規模までの手術に対応し、②術後指示で一般的に使用される薬剤を用い、③ERASで推奨されている方法を取り入れ、④硬膜外鎮痛法は局所麻酔薬のみとしPCAを活用する、⑤追加投与の第一選択の薬剤を小・中規模の手術の場合を踏まえアセトアミノフェンとし、⑥追加投与で用いる薬剤はマルチモーダルと作用機序の視点で用い、⑦効果判定時間は薬物動態を基準に設定しするといった点を加味して作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
次の研究であるA病院で手術を受けた患者の術後疼痛の実態に関する調査研究と作成した術後疼痛の評価指標やアルゴリズムを検証する研究については、①外部の研究者がA病院でデータ収集することによる新型コロナ感染症へのリスクの点と、②術後疼痛の評価指標やアルゴリズムを検証する介入研究としての研究計画の練り直しなどに時間がかかり進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、6月には患者の実態調査を実施する方向で進めている。 また、臨床研究としての研究計画について、A病院の総合臨床研究センターによるサポートを受けて立案できたので、倫理審査を受けた後、実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表が令和4年度になった点とアルゴリズムを検証する研究が遅れているため、次年度使用額が生じた。 次年度は、6月開催の第47回日本外科系連合学会にこれまでの研究結果を4題発表を行うことになっている。 また、アルゴリズムを検証するための研究計画の立案にあたって、アキュート・ペイン・サービスをすでに行っている施設でのアルゴリズムの内容ななどの情報収集を行い、アルゴリズム検証の費用として、次年度使用額を使用する計画である。
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