終末期の話し合い(End-of-life discussion)は終末期がん患者の過剰な積極的治療の抑制、緩和ケアやホスピスの早期紹介に寄与し、患者の生活の質(Quality of life)の改善や遺族の大うつ病のリスク低下と関連することが明らかとなっている。わが国のEnd-of-life discussionに関する遺族調査は、主に緩和ケア病棟で死亡したがん患者の調査であり、約7割のがん患者の死亡場所である一般病棟でのEnd-of-life discussionによる患者・家族アウトカムへの影響は明らかではない。本研究では、一般病棟で死亡した終末期がん患者の遺族を対象とするアンケート調査と診療録調査により、①一般病棟でのEnd-of-life discussionの実態を明らかにする、②一般病棟でのEnd-of-life discussionの関連要因を明らかにする、③終末期がん患者のQuality of lifeや遺族の精神健康に及ぼすEnd-of-life discussionの関連を明らかにすることを目的としている。 研究成果として、2019年度は、アンケート調査と診療録調査により、がん診療連携拠点病院2施設の一般病棟で死亡したがん患者の遺族124名(回収率51%)のデータを得ることができた。2020年度は、得られたデータを解析し、研究成果を論文にまとめ、終末期医療や緩和ケアに関する国内の学会で発表した。2021年度は、終末期医療や緩和ケアに関する国際誌に論文投稿し、採択された。
|