本研究の目的は、生活時間のマネジメントといった側面から、就労している2型糖尿病患者をサポートするための看護ケアシステムを構築し、保健指導従事者に普及することである。今年度は、教育用パンフレットを作成すると共に、作成したパンフレットやe-ラーニングコンテンツの評価を行い、今後の活用性について検討をした。 e-ラーニングコンテンツは、①糖尿病看護の基本的知識(食事療法・運動療法・薬物療法・フットケア)を提供するもの、②保健指導を実施する看護職に対し、生活時間のマネジメントを活用した看護援助について説明をするもの、③保健指導実施時に患者に提供するものといった3つの種類を作成している。それらを活用して今年度は2つの調査を実施した。 1つは、糖尿病看護の基本的知識を提供するためのコンテンツについて、看護学部生17名にe-ラーニングを体験してもらい、理解の程度や改善点についてアンケート調査を実施した。理解の程度について、運動療法とフットケアは17名全員が理解できたとの回答であったが、食事療法や薬物療法については難しさを感じた対象者もいた。 2つ目の調査は、糖尿病看護認定看護師や慢性疾患看護専門看護師といった糖尿病看護の専門家を対象に、教育用パンフレットや看護職および患者に使用するe-ラーニングコンテンツを用い、作成した看護システムの紹介とその活用性を検討するものである。作成した教育媒体を用いて看護システムについて説明し、活用性について、4~5名の2つのグループにインタビュー調査を実施した。看護職向けの教育媒体があることで、血糖値の改善のみに着目しがちな保健指導の視点を、包括的に患者を捉える方向に向けることができるのではないかという意見が得られた。また、病院だけではなく、クリニックや職域における活用についても検討することができた。
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