研究課題/領域番号 |
19K10923
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 有紀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10292616)
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研究分担者 |
千葉 理恵 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50645075)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Co-production コプロダクション / 共同創造 / 協働 / リカバリー / 精神保健 / 患者市民参画 / PPI |
研究実績の概要 |
本研究は、1.精神保健サービスにおいて協働・共同創造がなされると何が起きるのか(協働・共同創造の効果)を明らかにし、2.協働・共同創造はどのような条件で促進あるいは阻害されるのか(協働・共同創造の促進の関連要因)、協働・共同創造のためにできる工夫は何か、明らかにし、3.精神保健領域での協働・共同創造のための提案を作成することを目的としている。 2019年度は、①精神保健に関するコプロダクションを実践している組織からの発信の収集を行った。また、②コプロダクションと近接している概念である患者市民参画(Patient and Public Involvement: PPI)焦点を当て、精神保健領域における患者・市民参画についての文献をレビューした。また、③協働・共同創造の実践組織の観察と、それら組織に携わる者へのヒアリング及びインタビューを開始した。結果の概要は以下の通りである ①情報発信は英国のものが多いが、この数年でさまざまな国・地域からの発信が増加していることがわかった。 ②精神保健領域における患者・市民参画についての文献レビューでは、レビュー対象となった合計18件の論文の内容は、精神保健領域の患者経験のある者と共に研究をするにあたり、研究全般に関わった患者の役割や経験について述べたものや、当事者研究者と質的研究の分析を共にすることについて述べたもの、たとえば無作為化比較試験や、研究に対する意見を当該領域の患者や精神保健サービス利用者に聞いたもの、研究者に精神保健領域の患者・市民参画に関して思うところをインタビューしたもの、医療計画や提供への患者・市民参画の模様やその経験を調査したものなどであった。採択した18件の論文は、いずれも英国の研究であり(一件は英国とデンマークでの研究)、患者・市民参画に関しては英国が先進していることがわかった。 ③観察およびヒアリングを継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の研究実績の概要に記載した通り、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、協働・共同創造の実践組織での調査(観察とインタビュー、質問紙調査)を以下の通り行う。 協働・共同創造に取り組み、実践されている国内外の組織の情報収集をし、観察と面接調査を依頼する。 英国保健省のプロジェクトから設立されたImplementing Recovery through Organizational Change (ImROC) への訪問と情報収集を予定していたが、これは今後の感染症流行の状況を見ながら方法を検討する。 国内でも、協働・共同創造を掲げ実践している組織に協力を依頼し、各組織の観察と、さまざまな立場の者へのインタビュー調査を実施しデータを収集する。観察と面接調査での問いは、①協働・共同創造はどのようになされているか、協働・共同創造が始まった背景は何か(組織の哲学なども含め)。②協働・共同創造したことで何が起きたか?③協働・共同創造の促進に影響を与える因子(促進要因、阻害要因)は?促進するための工夫や困難は?である。
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次年度使用額が生じた理由 |
会議を対面会議ではなくオンライン会議となったものと、新型コロナウィルス感染拡大防止のために延期した会議があったために、旅費や会議費が予定よりも少なくなった部分がある。 これらについては、延期した会議の開催も含め、各地の状況にあわせた会議を開催する際に使用する予定である。
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