研究課題/領域番号 |
19K10923
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 有紀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10292616)
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研究分担者 |
千葉 理恵 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50645075)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共同創造 / コ・プロダクション / Co-production / 協働 / リカバリー / 精神保健 / 患者市民参画 / PPI |
研究実績の概要 |
本研究は、1.精神保健サービスにおいて協働・共同創造がなされると何が起きるのか(協働・共同創造の効果)を明らかにし、2.協働・共同創造はどのような条件で促進あるいは阻害されるのか(協働・共同創造の促進の関連要因)、協働・共同創造のためにできる工夫は何か、明らかにし、3.精神保健領域での協働・共同創造のための提案を作成することを目的としている。 2020年度~2022年度は、精神保健に関するコプロダクションを実践している組織からの発信の収集を行った。2020年度から2022年度にかけては、新型コロナウイルス感染の拡大により、協働・共同創造の実践をしてきた組織の活動の形式が変化し、これまで対面で実践を行ってきた組織が活動を中断したり、オンライン(ZOOM等)を用いての実践に切り替えるなど、2019年度までとは様相に変化が見られた。このため、2019年度に続き予定していた、協働・共同創造の実践組織の観察はオンラインを通じてのものとなり、それら組織に携わる者へのヒアリング及びインタビューはオンラインを用いて再開している。 英国保健省のプロジェクトから設立されたImplementing Recovery through Organizational Change (ImROC) への訪問と情報収集を研究計画立案時点(2019年)では予定していたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、訪問調査は実施できていない。 共同創造により提供されるリカバリーカレッジの受講者による過去の記述を分析した結果、リカバリーカレッジに参加したことにより受講者は、友人や仲間ができた、別の視点を得た、興味関心が広がった、生き方を変える機会となった、知識や技術を得たなどの変化を感じていることがわかっており、リカバリーカレッジの共同創造に関わる者のインタビューからも類似の結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大により、2020年度、2021年度に引き続き、2022年度も対面での集まりの中止、縮小が全国的に続いた。共同創造や協働により活動している組織の集まり(たとえばリカバリーカレッジの講座など)も、これに伴い中断・縮小されたものが多く、その活動についての聞き取りをする本研究の調査も遅延せざるを得ない状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、共同創造や協働により行われる精神保健活動の実践の再開は2023年度以降になることが予想される。 また、新しい活動や事業を始めることにもしばらく時間がかかると思われる。 アフターコロナの活動のあり方を模索している組織も多いため、状況に合わせ、以下の通り、協働・共同創造の実践組織での調査(観察とインタビュー)を行う。 協働・共同創造に取り組み、実践されている国内外の組織の情報収集をし、観察とオンライン等による面接調査を引き続き依頼する。 具体的には、協働・共同創造を掲げ実践している組織に協力を依頼し、各組織の観察と、さまざまな立場の者へのインタビュー調査を実施しデータを収集する。 観察と面接調査での問いは、①協働・共同創造はどのようになされているか、協働・共同創造が始まった背景は何か(組織の哲学なども含め)。②協働・共同創造したことで何が起きたか?③協働・共同創造の促進に影響を与える因子(促進要因、阻害要因)は?促進するための工夫や困難は?である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に予定していた調査がコロナ禍のために遂行できず、2023年度に延長させていただくこととなったため。
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