研究課題/領域番号 |
19K10925
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大島 千佳 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (30405063)
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研究分担者 |
藤本 悦子 関西医科大学, 看護学部, 教授 (00107947)
中西 啓介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10464091)
間脇 彩奈 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10533341)
竹野 ゆかり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (20509088)
安藤 詳子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (60212669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / MRI / 乳がん / 3Dスキャナー / 超音波エコー |
研究実績の概要 |
今年度は、リンパ浮腫患者の体幹部の水分貯留状況に着目した観察を行い、体幹部の腫脹と自覚症状との関連を明らかにすることを目的とした。乳がん手術後の患者を対象とし、水分貯留状況の観察には、MR装置を用い3D-DESS法とHASTE法の2 種類で撮像した。体幹部の腫脹の判定には、リンパ浮腫セラピストによる定性的評価と3D スキャンシステム(3Dスキャナー: GO!SCAN50, CREAFORM)による定量的評価を用いた。自覚症状の調査には、Visual Analog Scale(VAS)質問用紙を用いた。解析対象者は30名(リンパ浮腫発症群18名 リンパ浮腫未発症群12名)であった。結果は以下の通り。 ①上肢に貯留しているリンパ液と同質のものは、体幹部には存在しない。・MR撮像を行ったリンパ浮腫発症群13名全員の体幹部皮下に高信号が認められなかった。そのうち8名では、同一画像上において上肢にのみ高信号が認められた。②リンパ浮腫患者の中には、体幹部に腫脹を認めるものと認めないものが混在する。・リンパ浮腫発症群18名は、リンパ浮腫セラピストの定性的評価によって、腫脹の有無により9名ずつの2群に分類された。この2 群は3D スキャンシステムによる定量的評価においても有意な差が認められた。③体幹部の自覚症状の有無や程度は、体幹部の腫脹の有無とは一致しない。・リンパ浮腫診断の有無に関わらず、全被験者30名のうち、29名が1 項目以上の不快な自覚症状があると回答した。④体幹部の腫脹・自覚症状と水分貯留状況は一致しない。・MR撮像を行ったリンパ浮腫発症群13名においては、13 名全員に水分貯留が認められなかったにも関わらず、7 名には体幹部に腫脹が存在し、13名全員に1項目以上の自覚症状が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでリンパ浮腫患者の体幹部に関して、その実態が明らかになっていないまま、水分貯留を前提としたMLDなどの定型的なケアがなされてきたが、今年度の研究成果により、体幹部の皮下ドレナージの効果について検討しなおす必要性や、腫脹や自覚症状に対して他のアプローチが必要であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍における被験者数の減少が懸念されるため、次年度は、上肢の水分貯留状況に着目したデータの解析を中心に行う。同時に、被験者の応募も継続し、データ数を増やしていく予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行に伴い、予定していた被験者数が集まらず、主にMRI使用料(15000円/1名)の予算を繰り越すこととなった。また学会発表も、オンラインに変更となり、旅費も繰り越すこととなった。次年度は、COVID-19の収束とともに、データ収集を再開する予定。
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