研究課題/領域番号 |
19K10946
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柴山 大賀 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80420082)
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研究分担者 |
工藤 理恵 自治医科大学, 看護学部, 助教 (70908102)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 歯周病 / 医療連携 / 看護師教育 |
研究実績の概要 |
昨年度までの実績をふまえ、糖尿病を専門とする看護師による医科外来での口腔の健康アセスメントを可能にするための看護師向けの教育プログラム案を作成した。 昨年度の調査結果からは、現在の口腔管理に関する看護師向けの教育は、糖尿病合併症としての歯周病についての説明や、多職種連携への支援を促すものではあるが、患者の口腔内の観察や良い口腔環境を維持する自己管理についての説明についての実践を促すものではなく、今後は看護師に対して知識、スキル、自信を改善する教育が必要であることが明らかになった。そこで本研究における教育プログラムの大目標を「看護師が口腔内の観察ができるようになること」と定めた。また、教育対象者は外来で糖尿病看護に従事している看護師とした。教育プログラムの理論的枠組みとしてCOM-B Modelを採用し、[1]糖尿病外来における2型糖尿病患者の口腔の観察と評価の必要性について理解できる(Knowledge)、[2]糖尿病外来における2型糖尿病患者の口腔の観察と評価方法がわかる(Skill)、[3]糖尿病外来で2型糖尿病患者の口腔の観察と評価を、自信を持って行うことができる(Confidence)ことを教育プログラムの目標とした。さらに、目標達成に向けたプログラム内容として、①糖尿病患者の歯周病管理に関する情報提供、②口腔の観察と評価の実践方法の説明、③口腔の観察と評価の実践(演習)、⑤口腔の観察と評価を糖尿病外来で行うための問題解決に向けた意見交換、の5つを設定し、全部で80分間の教育プログラムを立案した。さらに、COM-B ModelのOpportunity要素への支援の一つとして、①と②で使用する教材案を作成した。 糖尿病患者に対する看護師の口腔管理行動を促すために、行動変容理論に基づく教育プログラム案を作成できたたことは、臨床看護上の意義が高いと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2021年度までに看護師向けの教育プログラム案を作成し、関連学会の学術集会の交流集会等でそれを実施したあと、参加者に対するアンケート調査からのフィードバックをもとに必要な修正を加えて洗練することまでを予定していた。 しかし共同研究者の異動やコロナ禍のため、2021年度中に教育プログラム案に対する専門家によるスーパーバイズの実施までは至らなかった。また、2021年度に参加を予定していた学術集会がオンライン開催となり、本研究の望む形での交流集会を開催することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、歯科医や糖尿病医療の専門家のアドバイスを参考に、教育プログラムの内容妥当性をさらに高め、教育対象者である看護師に教育プログラムを実施することが当面の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、調査費用や成果公表旅費が当初の予定よりも少なく済んだために残額が生じた。その分は今後の成果発表の費用として、英語論文や国際学会での発表に充当するほか、これから着手する教育プログラムの有用性の検討にかかる費用に充当する予定である。
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