研究目的:化学療法中に生じる頭皮の痒みに影響を及ぼす要因の検討 2021年度の研究成果:COVID-19感染症の感染拡大は継続しており、予定していた病院での調査の調整が困難であり、症例検討に加えて動物実験を追加した。動物実験は、2020年度後半から化学療法時の皮膚の組織学的変化を考慮した、より的を得た痒みの要因に対する介入ケア(洗髪剤や保湿剤等)の絞り込みのため、実施検討した。 方法・結果:<症例>60代女性、化学療法にて脱毛あり。脱毛中の痒みは軽度であったが、脱毛後に使用したウィッグにより頭皮の痒みと痛みの増強を認めた。内素材をセリシン(シルクプロテイン)含有のウィッグに変更することで、痒みと痛みの軽減を認めた。化学療法中の頭皮の痒みは脱毛によるものだけでなく、外的刺激による影響が大きいことが明らかとなった。以上より、脱毛中に使用するウィッグや帽子の素材の検討が必要である。<動物実験>6週齢のC57BL/6Jメスマウスを使用、7週齢で除毛、その後ドキソルビシン塩酸塩を腹腔内投与する群(介入群)、生理食塩水を腹腔内投与する群(非介入群)に分け、脱毛の状態・皮膚の生理機能の変化とサンプリングした皮膚の組織学的変化との関係を検討した。皮膚組織を採取し、表皮・真皮厚み、HE染色、Ki67(細胞増殖マーカー)、TNF(炎症マーカー)、IL1b(炎症マーカー)、NGF(痒みマーカー)を測定した。介入群では体重減少を認めた。皮膚生理機能の変化と組織学的な変化との関連をまとめている。
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