研究課題/領域番号 |
19K10950
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
澄川 真珠子 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (20432312)
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研究分担者 |
桑村 由美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90284322)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フットケア / 糖尿病 / 外来システムの構築 / 組織的課題 |
研究実績の概要 |
2019年度は、糖尿病フットケア看護専門外来運営システムの構築に向けた検討を行うための第一段階として、SWOT分析法の枠組みをもとに、フットケア医療施設における組織的課題を検討するための枠組みを作成した。医中誌2019.11.27においてフットケア及びその他病院運営に関する文献45件から外来運営システムの構築に重要と思われる記述を抽出した。その結果、看護専門外来の役割は【患者の生活課題を知り対応】【患者の価値観を大切にした支援】、【患者のニーズに応じセルフケア能力を引き出す支援】【患者と家族が安心感と満足感を持ち病気と共存して生きるための支援】【外来と病棟との連携】【地域との連携】。フットケア外来では、【ハイリスク者発見】【足病変への予防的セルフケア教育】【看護師の知識と技術の習得】【マニュアルの見直し】【随時のミーティング】【組織的サポートの充実】などが重要であることが明らかとなった。また、所属施設における附属病院のフットケア外来における現状の分析も加え、外来運営に必要なソフト・ハード面における項目が抽出された。2020年度末に日本糖尿病学会認定教育施設(約700施設)に所属している認定・専門看護師を対象にした全国調査を実施予定であったが、新型コロナウイルス拡大の影響を鑑み、各施設の状況が落ち着き次第、全国調査を実施予定である。調査により施設毎の改善点を見出すことでフットケア外来の質向上が期待できる。 また、フットケア看護実践力の向上に向けて、これまで提案してきた足潰瘍発症リスク分類指標の検討を行うと同時に、「家族支援力」や「地域包括ケア」に関する指標の追加を検討する。検討の際には、研究分担者、札幌医科大学の糖尿病専門医2名、皮膚科医1名、糖尿病認定看護師1名、糖尿病療養指導士3名に協力を得て、糖尿病専門家会議を開催し、評価指標としての内容妥当性を高める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度末に日本糖尿病学会認定教育施設(約700施設)に所属している認定・専門看護師を対象にした全国調査を実施予定であったが、新型コロナウイルス拡大の影響を鑑み、各施設の状況が落ち着き次第、全国調査を実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
SWOT分析法の枠組みをもとに、文献レビューおよび所属施設におけるフットケア医療施設における組織的課題を検討するための枠組みを作成したため、日本糖尿病学会認定教育施設(約700施設)に所属している認定・専門看護師を対象にした全国調査を実施する。SWOT分析は、組織の内部の強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境における機会(Opportunities)と脅威(Threats)の頭文字をとったものであり、各項目の現状を抽出してマトリックスで示し、課題を洗い出す手法であり、経営環境を整理する戦略的な枠組みである。調査により施設毎の改善点を見出すことでフットケア外来の質向上が期待できる。 また、フットケア看護実践力の向上に向けて、これまで提案してきた足潰瘍発症リスク分類指標の検討を行うと同時に、「家族支援力」や「地域包括ケア」に関する指標の追加を検討する。方法としては、NANDA-Iの看護診断ラベルである「#非効果的自己健康管理」と「#皮膚統合性障害リスク状態」を中心に診断指標、関連因子、リスク因子と照合する。指標の検討には、研究分担者、札幌医科大学の糖尿病専門医2名、皮膚科医1名、糖尿病認定看護師1名、糖尿病療養指導士3名に協力を得て、糖尿病専門家会議を開催(状況に応じてWeb開催)し、評価指標としての内容妥当性を高める。改訂版足潰瘍発症リスク分類表の活用については、所属施設の附属病院のフットケア外来において効果を検証する。対象は、糖尿病患者約20名とし、アウトカム指標は、足状態、フットケア行動評価(既存尺度)などとする。なお、所属施設の倫理審査承認後に研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、全国調査の実施時期を検討し、施設の状況が落ち着いてから調査を実施したほうがよいと判断したため。 全国調査は糖尿病認定施設845施設を予定しており、質問紙調査用紙の印刷および郵送返送に使用予定である。
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