研究課題/領域番号 |
19K10954
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山下 亜矢子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90614363)
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研究分担者 |
久松 美佐子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10512600)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルコール使用障害 / トラウマケア / 女性 / レジリエンス / リカバリー / 自助グループ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、女性アルコール依存症者の回復支援システム構築に向け、トラウマケアモデル開発とレジリエンス促進支援モデルの実証的評価を行うことである。 2021年度は、トラウマケアのエキスパートの実践知の解明、研究者らが開発したアルコール使用障害を有する若年層の女性を対象とした教材の実用可能性について調査を行った。また、研究データを蓄積するとともに成果発表に向けて準備を進めた。 トラウマケアのエキスパートの実践知の解明を明らかにするために、トラウマケアのエキスパートナース18名を対象としたインタビュー調査にて得られたデータを基に形態素解析を用い分析した。分析の結果、対象理解、再飲酒時の支援、家族関係悪化に関する情報収集、自助グループ参加への支援、タイムリーな対応、個別性の配慮、思いの尊重などが明らかとなった。アルコール依存症者に対するトラウマケアとして、入退院時の飲酒に伴う再トラウマ体験の回避や家族との関係性におけるトラウマ体験とその影響を考慮したアプローチの必要性などが示唆された。 アルコール使用障害を有する若年層の女性を対象とした教材の実用可能性を検証するために、学習意欲向上モデルであるARCSモデルに基づき調査項目を設定し、依存症医療のエキスパート3名、当事者4名を対象としたインタビュー調査と質問紙調査を実施した。分析の結果、教材の実用可能性として、教材として有効活用への期待、リアリティを追求した内容のさらなる充実、予防教育としての対象の拡大が示された。教材は学習意欲向上をもたらし、実用性が高く、予防教育のための教材など汎用性の高いものであることが示唆された。 研究成果の公表の手段として、学会発表を行った。新たに蓄積したデータを追加し、分析するとともに論文作成を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国の依存症治療施設や自助グルプより研究協力を得ることができ、トラウマケアのエキスパートの実践知の解明、研究者らが開発したアルコール使用障害を有する若年層の女性を対象とした教材の実用可能性についてデータを得ることができた。しかしながら、質問紙調査の調査内容の選定が遅れているため、依存症治療機関・回復支援機関におけるトラウマケアの現状と課題に対する質問紙調査が行えていない。また、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、対面による自助グループ参加などのフィールドワークが難しい状況がある。Zoomミーティングによる断酒会開催に伴い、回数は少ないものの参加することができた。今後は、研究計画に従い、フィールドワークを行うとともに、研究を展開する必要がある。以上より「やや遅れている」と評価される。
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今後の研究の推進方策 |
女性アルコール依存症者のトラウマケアモデル開発に向け、性差を考慮したトラウマティックストレスの特徴、支援者が実践するトラウマケアの現状と課題を明らかにするための質問紙調査を全国の依存症治療機関や当事者を対象として実施し、データに基づき検証する。 今後はさらに視覚教材を用いた女性アルコール依存者用レジリエンス促進支援プログラムの評価を行うとともに、調査より明らかとなったトラウマケアの実践知や文献検討を基に、女性アルコール依存症者に対するトラウマケアモデル開発とレジリエンス促進支援モデルについて追究する。トラウマケアモデル開発の手段として教材を改訂し、実用可能性について評価する。 また、国内外の文献レビュー、自助グループ参加によるフィールドワークを行う。 研究成果の公表の手段として、学会発表を行うとともに論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症のため予定していた国際学会に参加することができず、国内学会はwebによる参加のため旅費が発生しなかった。また、論文作成が遅れていることから論文作成時に必要となる経費が発生しなかった。
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