研究課題/領域番号 |
19K10957
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
熊地 美枝 岩手医科大学, 看護学部, 准教授 (40320642)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療観察法 / 司法精神看護 / ピアサポート / リカバリー / 他害行為 |
研究実績の概要 |
医療観察法病棟入院生活場面における対象者同士のピアサポートの様相を明らかにすることを目的に、入院対象者及び看護師に対してインタビューガイドに基づく半構造化面接を実施予定であった。 現在のところ、看護師の半構造化面接をZOOMにて4名実施している。面接の時間は平均50分であった。4名の半構造化面接の結果を逐語録にし、内容を精読し、分析を開始している。語られた内容からは、服薬に関連したピアサポート(内服するか否かや内服している薬の情報提供など)や外出・外泊に関すること、治療プログラムの選択や審判に関することなど情報交換を主とした交流であることが多くの場面で確認された。一方、対象行為に関連したピアサポートについては、現在のところ確認されておらず、このことは看護師の半構造化面接でわかる限界も示唆されると考える。看護師たちは、情報交換がネガティブな内容であったとしても、概ね、対象者同士のピサポートに対しては肯定的受け止めをしていた。なかには、対象者同士のピアサポートを促進する関わりを意識している看護師もいた。 看護師への半構造化面接は今後も分析を行いながら、同時に新たな面接を積み重ねていく予定である。 入院対象者の半構造化面接については、COVID19対策による面会制限などにより、研究協力施設側の研究承諾は得られているものの、対象者の面接実施には至っていない状況である。 さらに、医療観察法の処遇全過程に関わる社会復帰調整官が認識した地域生活における対象者同士のピアサポート場面とピアサポートに対する認識について明らかにする研究も計画しており、依頼手順について、現在、内部協力者と調整中の段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19感染状況が大きく影響し、リクルートが遅れ、研究全体が大幅に遅れているが、ZOOMを活用した看護師の半構造化面接がようやく進められるようになっている。
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今後の研究の推進方策 |
看護師の半構造化面接については、リモートを中心とし進めていく予定であるが、今後増える協力施設の状況によっては、訪問での面接を考慮していく必要がある。 入院対象者の半構造化面接については、施設側の感染対策フェーズに変化がない場合、施設側の許可が取れれば、施設内リモートによる半構造化面接など直接対面時間を短くすることも検討していく。しかし、施設外に向けたリモートは情報保護の観点から認められることが難しいと考えられ、施設への研究者の訪問は必須であると考える。 新たに進める社会復帰調整官を対象とした研究は、内部協力者と協議の上、速やかに依頼手順を進めていけるよう準備していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19感染状況が大きく影響し、研究協力施設への訪問が困難なことも多く、リクルートが遅れ、研究船体が遅れていることが大きな要因と考える。今後、本格的に研究を進め、データ収集が増える予定であり、謝品、テープ起こし代、データ収集に伴う旅費などの使用を予定している。 感染状況が落ち着けば、研究協力施設を増やし、直接訪問によるデータ収集を行う予定がある。特に、医療観察法病棟入院対象者を研究対象としている研究では、情報保護の観点から、施設外に向けたリモートによる面接は困難であり、各協力施設への複数回の訪問が必要となる。 また、社会復帰調整官を対象とした研究も進めていく予定であるが、職業特性上、情報保護の観点から、こちらも施設外へのリモートでの半構造化面接は許可されない可能性が高く、複数回の訪問を要すると考えることから、訪問調査に必要な旅費での使用を予定している。
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