研究実績の概要 |
本研究は、4年間を通して、認知行動療法(以下、CBT)、すなわち看護師による精神障害者への症状自己管理への効果が国内外で検証され、かつ厚労省や申請者らを中心にスーパービジョン(以下、SV)を導入した看護師への教育研修が行われている精神療法に着目し、SV体制のもとで看護師が実施する、急性期後の回復期にある精神障害者への症状自己管理を目的とする短期CBTプログラムを作成し、効果検証することである。 初年度である2019年度は、短期CBTプログラムの作成に必要な文献レビューを行った。2005年以降の看護師によるCBTの効果研究が蓄積された国外に焦点をあて、看護師が実施した精神疾患へのCBT効果研究を系統的質的レビューし、CBTの効果検討することを目的に実施した。対象論文は、MEDLINE, CINAHL, PsycINFO, Web of Scienceなどのデータベースを用いて、2005年1月から約10年の2015年9月までの出版論文564件、そのうち選定・除外基準に合う24論文を抽出した。さらにうつ病・不安症対象の看護師のみがCBTを行った5論文に絞り、効果の概観とコクランのバイアスリスク(2016)による研究の質を検討した。結果、在宅高齢者へのうつ病発症の予防効果は示唆されたが、外来・入院患者への効果、また不安症への効果は十分示されなかった。データ抽出過程やバイアスリスクの評価上での課題を踏まえ、今後、本研究の対象論文以降に出版された効果研究についても検討することが、看護師によるCBTの効果を蓄積する上で重要と考えられた。また今回のレビューを通して、看護師が実施する短期CBTプログラムに盛り込むべき内容も概観することができた。今後は、それをベースに、プログラムの作成に取り組む予定である。この系統的質的レビューは、現在、専門学会誌に投稿中である。
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