研究課題/領域番号 |
19K10963
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
永野 みどり 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40256376)
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研究分担者 |
佐藤 正美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60279833)
中村 美鈴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10320772)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 褥瘡 / 急性期病院 / 高齢者施設 / 皮膚排泄ケア認定看護師 / 死亡退院 / 地域連携ケアシステム / 入院時褥瘡保有患者 / 持ち込み褥瘡 |
研究実績の概要 |
4つの病院(ABCD)のうち、病院ABD では2018年5月~2019年4月、病院Cでは2018年11月~2019年10月のいずれも1年間の調査を実施したデータを分析した。64,898名の新規入院患者のうち、325名の入院時褥瘡保有患者を確認し、調査対象とした。男女比は同じであり、平均年齢は75.9さいであった。病院の褥瘡有病者の47.8%が入院時褥瘡保有患者によるものであることが推測できた。180名(55%)は退院時褥瘡が治癒していた。68名(21%)は死亡退院していた。 WORD法での分析の結果、2つのクラスターに分かれ、さらにそれぞれに下位に2つに分かれた〔[α:寝たきり「αa:治癒困難」&「αb:治癒退院」][β:疾病によるADL低下「βa:急性疾患」&「βb:慢性疾患急性増悪」〕。αaの72%は退院時に褥瘡が治癒しておらず33%は死亡退院していた。入院時褥瘡保有者全体におけるαaの割合は、地域密着型の高齢な入院患者が多いA病院で44%に対し、都心の特定機能病院のB病院では4%と大きな格差があった。βbの患者数は、大きな格差はなく、どの病院でも20%前後であった。 調査項目間の2群間の差の検定とロジスティック回帰分析により、高齢者施設からの入院時褥瘡保有患者の特徴を日本褥瘡学会に、外来通院中の入院時褥瘡保有患者の特徴を日本創傷・オストミー・失禁管理学会に、死亡退院する入院時褥瘡保有患者の特徴第1報を世界創傷治癒学会(WUWHS)(Web開催)に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4つの病院(ABCD)のうち、病院ABD では2018年5月~2019年4月、病院Cでは2018年11月~2019年10月のいずれも1年間の調査を実施したデータを収集することができたので、2020年度は分析し、患者の分類や特徴を明らかにして、学会報告をすることができた。また、2021年度に開催される学会発表のための抄録応募も実施できた。 3年計画の目標である論文による成果発表も次年度には可能である見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
国際学会での成果報告を予定している。化学療法中の入院時褥瘡保有患者の特徴を来年度の世界ET学会(英国)に、クラスター分析による入院時褥瘡保有患者の特徴を本年度のアジアET学会(APETNA)に、死亡退院する入院時褥瘡保有患者の特徴第1報を世界創傷治癒学会(WUWHS)(2022Abe Dhbi開催)に報告すべく、抄録を投稿してacceptされている。 また、論文投稿による成果報告を実施する。まず、「高齢者施設からの入院時褥瘡保有患者の特徴」に関する日本語論文を作成し、今月中に日本褥瘡学会に投稿する予定である。次に「化学療法中の入院時褥瘡保有患者の特徴」の論文を作成し、日本創傷オストミー・失禁管理学会に報告予定である。加えて、「死亡退院する入院時褥瘡保有患者の特徴」について論文作成し、英文専門誌(Jornal of Wound Ostomy Continence Nursing)に投稿を目標にしている。 加えて、本研究成果を生かして臨床での看護や地域連携ケアシステムの質向上に資する研究として「通院中の糖尿病と化学療法中」ならびに「死亡退院」の入院時褥瘡保有患者について、詳細を調査して、「外来における褥瘡リスクアセスメントとケア」や「終末期における地域連携ケアシステム」の研究の計画書作成予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、参加する学会が延期や中止またはONLINEになり、学会参加のための旅費などの予算が執行できなかった。また、調査対象の病院もCOVID-19の影響により、多忙を極め、エキスパートパネルなどの会議ができず、会議費も執行できなかった。
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