本研究の目的は、筆者が作成した「妊娠期がん患者と家族のがん治療と妊娠継続に関する共有型意思決定を基盤とした医療者の支援モデル」(科学研究費補助金基盤(C)19K10967、以下「支援モデル」とする)を用いた介入を行い、意思決定支援の効果と課題を明らかにすることである。 2022年度までに、支援モデルの洗練化、洗練化した支援モデルに基づいた看護師による介入、介入の効果の明確化を予定していた。しかし、COVID-19感染拡大のため臨床でのインタビューが不可能になたっため、「妊娠期がん患者の受診の実態」についてがん看護専門看護師を対象にアンケート調査を実施した。また、1施設のみではあるが、がん看護専門看護師による支援モデルを用いた看護介入を実施し、その効果と課題についてインタビューを行った。 妊娠期がん患者の受診の実態調査では、全国のがん診療連携拠点病院(地域がん診療病院を除く)408施設にアンケート用紙を配布した。回答数は91(有効回答率22.3%)、うち、妊娠期がん患者の受診は74(81%)であった。患者のがんの種類は乳がんが最も多く、子宮頸がん、白血病、悪性リンパ腫の順であった。がん治療の受療時期は妊娠中37(52.9%)、出産後19(27.1%)、中絶11(15.7%)で、出産時期は正期産29(49.1%)、早産26(44.0%)で、出産方法は予定帝王切開が最も多かった。医療者から患者への生殖補助医療の説明は32施設(45.7%)で実施されていたが、実際に生殖補助医療を受けた患者は9(13.0%)であった。 支援モデルを用いた看護介入は1施設で実施し、介入を行ったがん看護専門看護師へのインタビュー調査を終えている。
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