研究課題/領域番号 |
19K10971
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
津村 明美 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (90595969)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小児がん / 家族 / 心理社会的リスク / スクリーニング / ePRO |
研究実績の概要 |
本研究は、小児がん患者・家族の抱える心理社会的リスクをスクリーニングするためのePRO(患者報告アウトカム電子システム)として、タブレット型情報端末を使用したPsychosocial Assessment Tool日本語版(ePAT-J)を開発し実用可能性を検討すること(研究1)さらに、ePAT-Jを用いてスクリーニングされたリスクレベルに応じて心理社会的支援ニーズの要素を類型化したものと、エキスパートパネルの意見に基づき、小児がん患者・家族の心理社会的支援モデルを開発すること(研究2)を目的としている。 ePROとは、直接電子的に収集するPROの収集方法およびそのシステムを意味し、デバイスは、タブレットもしくはスマートフォンが一般的に使わる。PRO(患者報告アウトカム)データの収集方法としては、調査票など紙を用いての収集とePROとがあり、お互い利点と欠点がある。現在は、紙媒体の調査用紙からePROへの移行期であるといわれており、紙PROとePROの同等性を確認することが重要である。そのため、本研究においては、ePAT-Jを開発し、紙媒体のPAT-Jと電子版のePAT-Jの同等性、ePAT-Jの受容性および実用可能性を検証していきたい。 ePROの実用化には、患者・家族にとって、わかりやすく、入力しやすい画面、PC操作の経験のない者でも簡単な説明で操作ができるような画面の開発が必須である。さらには、患者・家族の入力したデータがわかりやすく視覚化されることが求められる。また、そのデータが蓄積されて、患者・家族の抱える心理社会的問題の経過が時間軸でグラフ化され、その画面をみながら患者・家族-医療者のコミュニケーションが促進されるようなシステムが重要である。 令和3年度は、PAT-Jを電子化するためのePAT-Jのシステムの構築に関する検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究1の『ePAT-Jの開発と実用可能性の検討』について、令和3年度は、PAT日本語版をタブレット型情報端末(iPad)で使用できるePAT-Jのシステムの構築に関する検討を行った。実臨床におけるePROの活用例などを文献検討や有識者からの意見を聴き取り、研究計画の詳細を検討した。 令和3年度は、令和2年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響と所属機関の変更などにより、小児がん患者の親にePAT-Jと自記式質問票を用いた調査を実施し、ePAT-Jの実用可能性を検討するはずであったが、予定通りの進行ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度以降は、令和3年度までに行えなかった小児がん患者の親にePAT-Jと自記式質問票を用いた調査を実施し、ePAT-Jの実用可能性を検討する。 また、令和4年度は、研究2の『小児がん患者・家族の心理社会的支援モデルの開発』の先行研究のレビューと質問紙調査の結果に基づいてインタビューガイドを作成し、小児がんサバイバー、小児がん患者の親やきょうだい、小児がん患者・家族にかかわる医療専門職者にインタビューまたはフォーカス・グループ・インタビューを行い、小児がん患者・家族の心理社会的支援ニーズとケアの構成要素を抽出する。小児がん患者・家族の心理社会的支援モデルを考案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、新型コロナウィルス感染症の影響と所属機関の変更により、予定通りの研究の進行ができなかったため、令和3年度に予定の費目として使用していく。
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