研究実績の概要 |
基礎調査として更年期女性の健康の特徴を把握することを目的とした。当初の計画では,対象は中部圏の中小企業に勤める女性に焦点を絞ったが,母集団が限られたこと,近年の関連研究が減少傾向にあることを考慮し、我が国の更年期女性を対象に特徴をみることとした。データは,厚生労働大臣に申請,許可を得,平成25年国民生活基礎調査の匿名データBを使用した。全データ数は16,262名,うち男性7,757名(47.7%),女性8,505名(52.3%)である。本研究では,40~59歳女性のデータ(n=2,202)を分析対象として使用した。回答で「不詳」のものは当該の分析から除外し,有効パーセントを示した。 結果は,42項目の自覚症状のうち最も気になる症状は肩こり115名(15.9%),腰痛96名(13.3%),の順に多く,月経不順・月経痛は10名(1.4%)であった。また傷病で病院や診療所,施術所に通っている771名(35.8%)のうち,最も気になる傷病は筋骨格系131名(17.5%),循環器系119名(15.9%),内分泌・代謝障害115名(15.4%)の順に多く,尿路生殖器系は23名(3.1%)であった。一方,日常生活での悩みやストレスの有無では,有1,261名(58.6%)で,最も気になる悩みやストレスは自分の仕事256名(21.5%),収入・家計・借金等222名(18.7%),家族の病気や介護120名(10.1%),子どもの教育106名(8.9%)であった。 更年期女性が最も気になる傷病は筋骨格系であった。病院や診療所,施術所に通ってはいないが肩こりや腰痛を自覚しながら日常生活を送っている者がみられた。また日常生活で悩みやストレスを抱えている者が半数以上存在した。プログラムの作成は,更年期の健康教育の他,ストレッチには肩こり,腰痛予防や軽減のための内容を検討する。
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