研究課題/領域番号 |
19K10993
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
伊藤 龍子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (40269246)
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研究分担者 |
河原 直人 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (60339728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 意思決定支援 / 倫理的諸問題 / 倫理継続教育 / 医療従事者 / 苦悩改善 |
研究実績の概要 |
高度先進医療により医療機器を装着して療養する医療依存度の高い子どもが増えており、病態が安定すると退院して在宅療養に移行する事例が多いが、退院に向けた家族の意思決定は困難を極め、医療従事者の苦悩も拭えない。また、同意能力がある年齢の子どもの治療拒否も多く、治療開始までに時間を要する。この日常的な倫理的諸問題に対して、医療従事者は子どもや家族の意思決定支援を実践するための基礎教育は十分になされていない上、医療従事者のための倫理継続教育は存在せず、医療従事者個人の判断に任せられている場合が殆どである。そこで本研究は、過去に医療受持者が子どもや家族の意思決定を支援する上で困難だった事例、倫理継続教育の内容と方法、効果的な教材について医師と看護師を対象に事前調査を実施し、調査結果を踏まえて研究班員により倫理継続教育プログラムを検討する。そして、患者家族との話し合いの困難感を改善する倫理継続教育、教材テキストの発行、e-learning教材を開発して倫理継続教育プログラムを介入し、効果的か否かの仮説を検証することを企図している。 2019年度は、小児医療における現状の倫理的諸問題とその対処について研究班員で検討し、国内外の文献検討を実施した。その結果を基に、2020年度は事前調査に用いる調査票(案)を作成し、小児医療の専門家6名に調査票の表面および内容妥当性の検討を依頼し、調査票を開発した。現在、研究代表者の当該施設において研究倫理審査中である。その審査の結果を受けて調査票を完成させ、わが国の小児総合医療施設、特定機能病院と地域の中核医療施設の施設長に対して研究依頼書と同意書を送付し、同意があった施設の施設長およひ看護部長宛に医師と看護師宛の調査票を送付し、調査への協力得ることを計画し、本年度中に調査結果を分析し、結果と考察を実績報告書に掲載することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、調査票の開発と表面および内容妥当性の検討に時間を要した。その理由は、臨床現場で医療従事者が対応している倫理的諸問題の見極めと対応が個人によって異なるなど、対応に苦慮しているため慎重に調査項目を吟味していたためである。現在、研究倫理審査の最中であるため審査結果を受けて加筆修正を予定している。調査票の完成後、小児総合医療施設、特定機能病院と各地域の中核病院の小児部門の医師と看護師宛てに調査票を郵送し、調査への協力を得る予定である。その結果を実績報告書にまとめて倫理継続教育プログラム、教材テキスト、e-learning教材を開発し、介入を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2021年度は、調査票を完成させ、小児総合医療施設、特定機能病院および各地域の中核病院の施設長の同意が得られた施設の小児部門の医師と看護師宛に調査票を郵送し、調査協力を得る予定である。調査終了後は調査内容を分析してその結果と考察を計画している。今年度中に調査結果を基に、倫理継続教育プログラム、教材テキスト、e-learning教材を開発することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
過去2年間研究班会議を通して、臨床現場における倫理的諸問題を検討し、問題自体が複雑であり、調査票の文言等を吟味し、研究班員で何度も文言等を慎重に検討したため、2年を費やしました。現在、調査票等を当該施設の研究倫理審査委員会に審査を申請しており、審査後の今年度中に調査とその分析を終了することを計画している。調査とその分析後直ぐに倫理継続教育を医師と看護師を対象として実施を予定しているためである。
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