研究実績の概要 |
本研究課題においては昨年度までに、女子大学生を対象とした横断調査ならびにスマートフォンアプリ「ルナルナ」ユーザーを対象としたウェブ調査を実施した。女子大学生を対象とした横断調査から、社会的ジェットラグが月経随伴症状の重症化と関連することを明らかにし、その結果を学術誌に公表した(Komada et al., Chronobiology International, 2019)。スマートフォンアプリユーザーを対象としたウェブ調査からは、月経開始時の月の位相(満月・新月)がその後の主観的な睡眠感と関連することを示した。具体的には、暗期(新月)での月経開始は、その後の主観的な睡眠の質の低下と関連すること、特に暗期に連続して月経が開始した場合や、月の位相が明期・暗期と変化した場合には睡眠の質低下がより顕著であった(Komada et al., International Journal of Environmental Research and Public Health, 2021)。近年、天体の月の位相と女性の生体リズムの間に関連性を見出す成果がいくつか報告されており、分娩・出産の時刻と月の位相について新たな知見が見い出されている。また、社会的ジェットラグが心身の健康とくにリプロダクティブヘルスに影響することも指摘されている。そこで、2021年度は妊産婦を対象とした調査を計画し、産婦人科外来で実施した。倫理委員会の承認を受けた上で、病院に通院中または産後入院中の患者を対象として、睡眠習慣や睡眠の問題について尋ねるピッツバーグ質問票と睡眠時無呼吸症をチェックするベルリン質問票への回答を依頼した。約1,000人の妊産婦から回答を得られた。今後データ入力、解析をすすめる計画である。
|