研究課題/領域番号 |
19K11005
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
薬師神 裕子 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (10335903)
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研究分担者 |
野本 美佳 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (90830901)
濱田 淳平 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80637900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フラッシュグルコースモニタリングシステム / 小児糖尿病 / 糖尿病セルフケア |
研究実績の概要 |
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大により、小児糖尿病キャンプが中止となり、今年度のデータ収集が実施できなかった。したがって、2019年に小児糖尿病サマーキャンプに参加し、FGMシステムを利用した15名のデータに加えて、2018年にプレテスト的にFGMを導入した小学生から高校生の研究対象者15名を加えた30名のデータについて再分析した。対象者の背景は、小学生9名、中学生11名、高校生10名で、平均年齢は13.2歳、平均発症年齢6,53歳であった。血糖測定回数は4.48回/日、注射回数4.17±0.71回/日であった。 セルフケア尺度の総得点は、FGM導入前95.0点から導入直後97.5点、導入1ヶ月後96.5点と導入直後に得点が上昇し有意な変化を認めた(χ2=9.807, p=0.007)。また、以下の下位尺度の3項目でFGM導入前後に有意な変化を認めた。F1:「家族のサポートと療養行動への姿勢」は導入前20.5点、導入直後21.0点、導入1ヶ月後20.5点(χ2=6.376, p=0.041)、F2:「間食・外食とインスリン注射」は、導入前10.0点、導入直後12.5点、導入1ヶ月後11.0点(χ2=21.078, p=0.000)、F8:「医療者や教師への相談」導入前3.0点、導入直後4.0点、導入1ヶ月後3.0点(χ2=6.537 p=0.038)と、導入直後の得点がいずれも上昇した。 また、FGMシステムの利用により「自分でインスリンの単位を決定できるよう頑張る」「いつ何単位(インスリン注射を)打ったらいいかを学び自分で食事の単位など考えている」「血糖値の乱高下を減らし血糖値を目標の範囲にはめる」「正常値をできるだけ維持する」「インスリン量を考えて70-140mg/dlの間になるようにする」「夜中の低血糖を減らし血糖コントロールをよくする」「血糖値の変動を考察する」など、FGMの導入により注射の単位数の決定や血糖値を目標範囲にコントロールできるよう努力するといったセルフケア能力の向上が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大により、小児糖尿病サマーキャンプが全国的に中止となり、愛媛県で開催している糖尿病サマーキャンプも中止となった。本研究のデータ収集は、糖尿病サマーキャンプの期間中に行う予定であったために、糖尿病サマーキャンプの中止は今年度の研究の実施に非常に大きな影響を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には、FGMシステムの継続的な導入の効果を明らかにする。また、これまでのデータや文献から、詳細な分析を進め論文執筆を行う。しかし、2021年度も新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大により、小児糖尿病サマーキャンプの開催が危ぶまれている。今後、サマーキャンプが対面で実施されない場合、FGMシステムの継続的な効果を明らかにするデータ収集に大きな影響を与えるため、研究期間の延長を考える必要性も出てくることを考慮し研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス拡大により、糖尿病サマーキャンプが中止され、データ収集を行うことが不可能になった。また、多くの学術集会がオンラインとなった。そのため、FGMシステムに必要となるセンサーなどの購入費用や研究結果を学会等で発表する交通費などが計上されなかった。これらの費用は、2021年度以降に計上する。
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