研究課題/領域番号 |
19K11008
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
阿部 正子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (10360017)
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研究分担者 |
宮田 久枝 園田学園女子大学, 人間健康学部, 教授 (70249457)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生殖補助医療 / 治療終結 / 意思決定 / アセスメントガイド / 生殖看護 |
研究実績の概要 |
2022年度はCOVID-19の影響が継続したため、生殖補助医療に関連する学会の学術集会にオンラインで参加し、情報収集を行った。また、不妊治療施設の看護師1名から現状と課題に関する意見聴取を行った。 まず不妊治療の保険適応による影響について、マクロの患者層(40歳以上)のシフトチェンジへの対応とともに、保険適応外や難治性不妊のカップルへの多様な対応が必要になったことが明らかとなった。例えば、卵巣機能の低い者に使っていた薬が使えず高年齢(40歳以上)にあまり効果のない薬しか使えず、採卵数が減ってしまうという現状があり、医療側にとって保険の縛りの中で、こんな方法しかないのかという葛藤と無力感が生じていた。さらに、不妊治療施設で働く看護職は、保険適応の条件にかなわない(自費診療の)患者が来院しなくなったと感じる一方、不妊治療とは何かも知らず、不妊の定義にも当てはまらないカップルの受診が多くなったと感じていた。しかし、妊娠を望む人々の思いは変わらないため看護支援も基本的に変わらないこと、看護者はそのニーズや思いを受け止め、正確な情報提供と不安な気持ちに寄り添う看護はかわらないという認識を持っていることが明らかとなった。COVID-19の影響に加え、不妊治療の保険適応は臨床現場に多大な影響を及ぼしていることが明らかとなったため、改めて実態調査を行い、生殖看護の現状をまとめ支援の方向性を見出す研究に取り組む必要があると考えている。 研究を進めるにあたっては、不妊治療施設に勤務する看護師10名程度をスノーボール式で募集し、同意のあった者に1~2回インタビューを行う予定である。インタビューをするにあたっては不妊治療の過程で生じる自尊心低下を防ぐことを含む支援内容と、外来という特殊性も踏まえながら語ってもらえるよう工夫する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
アセスメントガイドの試案を作成する予定であったが十分な検討が出来ず、さらに臨床看護師への聞き取り調査について、予定していた倫理審査への申請が叶わなかった。COVID-19の影響により、研究に費やす時間の確保が困難になったことも影響している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、倫理審査後から研究協力の承諾を得られている施設の看護師を対象に半構成的面接法を用いてデータ収集を行う。データの飽和化を確認しながら、質的帰納的に分析し、看護アセスメントガイド案を作成する。本研究の結果についてもまとめ、次年度の発表に向けての準備をすると同時に、論文執筆と報告書作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響にてweb開催の学会が多く、また医療施設での調査が実施できなかったことから、旅費や人件費が使用されないままであった。2023年度は本調査にあたり必要となる物品費やデータ収集施設までの交通費、人件費、謝金等で使用する予定である。
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