研究課題/領域番号 |
19K11015
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
坂上 明子 武蔵野大学, 看護学部, 教授 (80266626)
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研究分担者 |
森 美紀 武蔵野大学, 看護学部, 准教授 (70585687)
大月 恵理子 順天堂大学, 大学院医療看護学研究科, 教授 (90203843)
林 ひろみ 東邦大学, 健康科学部, 教授 (90282459)
青柳 優子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (40289872)
林 はるみ 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (80529397)
青木 恭子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (60714110)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高年齢不妊カップル / 意思決定 / 支援ガイド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高年齢不妊カップルに焦点を当てた、初診から治療終結に至るまでのカップル-医療者間のShared decision making(共有意思決定)に基づいた意思決定支援ガイドを作成することである。 2021年度は、不妊症看護認定看護師を対象に、高年齢不妊カップルに実践している治療の意思決定支援についてインタビュー調査(2020年度実施)を行った結果を、第19回日本生殖看護学会学術集会において報告した。 また、女性が40歳以上の時点で不妊治療を経験した男女を対象に、治療の意思決定体験と意思決定支援内容、意思決定支援における課題を調査した。Web調査会社を通じた募集とネットワークサンプリングにより研究参加者18名を確保し、オンライン会議システムあるいは対面により、半構成的インタビューを実施した。研究参加者は女性16名、男性2名であり、子どもがいる続発性不妊は7名だった。40歳以降の不妊治療が成功したものは12名、成功しなかったものは6名だった。治療の意思決定体験について質的・帰納的に分析の結果、【高齢であることの焦りに駆り立てられて治療を求めた】、【これまでの経験と自ら調べたことを基に自分が決めた】、【医療者からの支援で納得して選択した】、【やむを得ず選択した】、【私たち夫婦に合った支援が得られなかった】など13カテゴリーに集約された。高年齢であるがゆえに治療の選択肢が少なく、妊娠可能な期間が限られている焦りなどから、やむを得ず治療を選択していたり、高年齢カップルの希望に沿った支援が受けられていないなど、高年齢での治療の意思決定に特徴的な体験が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症拡大により、研究協力施設や研究対象者の確保が困難となったため、研究方法を見直す必要があった。研究参加者の募集方法を再検討し、オンライン会議システムを活用したデータ収集方法を取り入れるなどして、2020年度よりデータ収集を開始し、研究を推進することができた。 2020年度は、不妊症看護認定看護師13名を対象に、高年齢不妊カップルに実践している治療の意思決定支援についてインタビュー調査を行い、質的・帰納的に分析した。この結果は、第19回日本生殖看護学会学術集会において報告した。 2021年度は、高年齢で不妊治療を経験した男女18名を対象に、不妊治療の意思決定体験と医療者から受けた意思決定支援についてインタビュー調査を行い、質的・帰納的に分析した。 研究期間延長が認められたため、今後は、これらの結果及び文献検討をもとに、意思決定支援ガイドを作成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、2021年度に実施した、不妊治療経験者の治療の意思決定体験について、関連学会で報告する。また、2020年度及び2021年度に、不妊症看護認定看護師及び不妊治療経験者を対象に行った調査結果を統合し、高年齢不妊カップルへの意思決定支援の課題を質的・帰納的に明らかにする。 さらに、研究最終年度として、2020年度及び2021年度にインタビュー調査・分析した意思決定支援の内容及び課題、意思決定体験を論文化し、これらの結果と文献検討を踏まえ、初診、不妊原因探索、一般不妊治療の開始、高度生殖医療へのステップアップ、治療の終結(治療の終了または妊娠)などの各治療段階に応じた、意思決定支援ガイド案を検討する。 このガイド案について、不妊治療・看護に精通した不妊症看護認定看護師、生殖医、臨床心理士等による専門家会議により意見聴取を行い、その内容を精選し、意思決定支援ガイドを完成させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2019年度は調査を実施することができなかった。そのため、研究参加者及び研究方法を再検討して修正し、2020年度よりデータ収集を開始した。研究期間延長が認められたため、次年度には、これまで執行できなかった意思決定支援ガイド案に対する専門家会議を実施したり、研究成果を論文化したりする費用を使用する予定である。
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