産後 1 か月の母親における手指・手首の痛みと育児および日常生活の状況を調査し、看護への示唆を得ることを目的に1か月健診に来院した母親に対しアンケート調査を実施した。以下の内容について、2023年度第25回日本母性看護学会学術集会において発表した。 対象者は27名、回収率は13.5%であった。対象者は初産婦15名、経産婦12名、平均年齢は34.44歳であった。児の平均出生体重は2973.41g、1か月健診時の平均体重は4127.81gであった。児の栄養方法は、母乳栄養が7名、混合栄養が20名であった。産後1か月間、母親自身が担っていた育児負担の割合は、19名(70.4%)が8割以上と回答した。家事負担の割合は、10名(初産9名・経産1名)が3割以下、7名(初産2名・経産5名)が7割以上と回答した。妊娠中に手指手首の痛みがあった者は 4名(初産婦3名・経産婦1名)であり、全員が妊娠8~10か月頃に痛みが生じ、現在も継続していた。出産後に痛みがあった者は9名(初産婦7名・経産婦2名)であり、全員退院後に生じていた。その後 1か月健診までに痛みが消失した者は5名、現在も継続している者は4名であり、継続している者は全員初産婦であった。対処として、医師や看護職へ相談した者は13名中2名であった。 児の栄養方法、育児負担割合、家事負担割合と手指・手首の痛みの有無との関連は明らかにならなかった。妊娠中から痛みのあった者は産後1か月時点まで痛みが継続していた。妊娠中から続く手指・手首の痛みに特化した対処法を検討する必要がある。産後に手指・手首の痛みを生じた者では、いずれも退院後に症状を自覚していた。産後入院中であれば医療職への相談も容易であるが、退院後は医療職への相談もしにくい。発症予防にはより早期の介入が必要であることが示唆された。
|