研究課題/領域番号 |
19K11024
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
西村 明子 兵庫医療大学, 看護学部, 教授 (20324783)
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研究分担者 |
川内 惠美子 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (90804279)
阿川 勇太 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (80846543)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 産後うつ病 / 父親 |
研究実績の概要 |
父親と母親の産後うつ病を予防することを目的に、産後の父親と母親を対象とした支援方法を検討することが本研究の目的である。これまでに研究代表者が実施した調査により、産後1か月の父親のうつ状態は父親自身の雇用形態が非正規雇用など不安定な状態であることや望まない妊娠が関連しており、パートナーのうつ状態とは関連がなかったが、産後4か月の父親のうつ状態はパートナーがうつ状態であること及び夫婦関係が悪いことと関連していた。これは、産後1か月までの里帰り分娩などのサポートが終了した後の夫婦での育児を中心とした生活に何らかの課題があると思われる。そのため、夫婦による育児が開始される産後1か月に産後教室を行うことを計画した。今年度は、前年度の文献検討の結果をもとに、具体的なプログラムを考案し、プログラムの適否について夫婦に聞き取り調査を行う予定であったが、コロナの影響により、育児中の夫婦を対象とした研究が実施できなかった。そのため、研究疑問を変更して研究計画を立案し、倫理審査申請を行い承認された。今後は、父親の自助グループの会員を対象に、父親の自助グループの会員である父親が、妻の妊娠が判明してから父親の自助グループに入会するまでのプロセスを調査し、妻の妊娠から出産、育児期を通して、父親にどのようなニーズがあり、どのような経験をしているのかを明らかにすることを目的に研究を行う。また、職域における父親支援を計画しており、教育プログラムの作成と実施及び調査を計画する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響で育児中の夫婦に対する調査ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新たな研究計画での調査を実施する。母親の産後うつ病は自殺との関連も指摘されており、重大な社会問題として取り上げられている。母親の産後うつ病を予防する要因として父親の育児参加や情緒的サポートが報告されているが、父親の家事・育児参加時間は1日平均83分(平成28年)と短く、父親の家事・育児参加はまだまだ不足している。この背景には、子育て世代の父親の長時間労働(週60時間以上労働している男性は30歳代で12.4%)や父親の育児休業取得率の低さなど(2019年は7.48%)労働環境の問題もある。 このように母親の支援者として期待されている父親ではあるが、父親も子どもの誕生をきっかけにうつ病を発症することが報告されており、産後1年までの有病率は約1割である。家事・育児に積極的に取り組もうとする父親にうつ病発症のリスクが高いという報告もある。産後は夫婦ともに生活の変化からうつ病発症のリスクが高まる時期であり、夫婦への支援を検討する必要があるとされているが、父親への支援は不足している。この様な状況は国外でも同様であり、カナダにはDad Central、オーストラリアにはThe fathering project, The Australian Men’s Health Forum, Dads4Kids、スエーデンには非営利団体MANなどの自助グループが存在する。我が国においても父親の自助グループとして2006年に特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパンが設立された。 そこで、父親の自助グループの会員である父親が、妻の妊娠が判明してから父親の自助グループに入会するまでのプロセスを調査し、妻の妊娠から出産、育児期を通して、父親にどのようなニーズがあり、どのような経験をしているのかを明らかにすることを目的に研究を行う。また、職域における父親支援を計画しており、教育プログラムの作成と実施及び調査を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により育児中の夫婦に対する調査が実施できなかったため。 次年度は父親の自助グループに所属する父親へのインタビューにかかる費用(交通費と謝金等)と業者への逐語録の作成費用が必要である。また、職域における父親支援を計画しており、プログラムの作成と実施及び調査での費用が必要である。結果の学術集会への投稿と、論文投稿の費用が必要である。
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