研究課題/領域番号 |
19K11031
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大北 真弓 三重大学, 医学系研究科, 助教 (30806914)
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研究分担者 |
仁尾 かおり 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50392410)
村端 真由美 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (30363956)
岩本 彰太郎 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (20456734)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 重症心身障害児 / 痛み / 評価 / 尺度 |
研究実績の概要 |
本研究成果は、第一に、重症心身障害児の痛みを評価する尺度として、Paediatric Pain Profile(PPP)の日本語版を開発し、信頼性と妥当性を実証したことである。重症心身障害児30名に対して痛み場面と安静場面で尺度を用いて看護師3名に評価をしてもらった結果、内的一貫性は高く(安静時:α=0.735,痛み時:α=0.928)、再テスト信頼性も良好であった(r=0.846)。測定者内信頼性は高く(r=0.748)、測定者間信頼性は中等度であった(r=0.529)。類似尺度であるFLACCスケールとの併存妥当性(r=0.629)、安静時から痛み場面におけるPPP scoreの上昇を確認した構成概念妥当性も認められた(p<0.001)。第二に、痛みの観察者の特性による評価の違いを明らかにした。子どものことをよく知る看護師は、そうでない看護師よりも痛みを高く評価した(p<0.01)。看護経験年数とPPP scoreとの相関関係は認められなかった。尺度の継続的な使用意思と看護経験年数との相関関係は認められなかった。しかし、尺度を継続的に使用したいと感じていた看護師ほど、重症心身障害児の痛み行動反応を捉えることができておらず(r=-0.583)、痛みの原因についても回答個数が少なかった(r=-0.535)。第三に、本研究対象者の重症心身障害児の痛みの特性は、年齢が低い子どもは医療依存度の高い超重症児が多く(p<0.001)、年齢が高くなると側彎が主な痛みの原因となった(p<0.001)。年齢が低い子どもの方がPPP scoreが高く(p<0.01)、医療依存度が高い子どもほど痛みの頻度は多かった(p<0.01)。 これらの結果は、医療者など周囲の大人が慢性疼痛を抱える重症心身障害児の痛みに気付き、チームで彼らの痛みを共有することを可能にし、今後の痛み緩和ケア研究の礎となる。
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