研究課題/領域番号 |
19K11032
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 祥子 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (40423248)
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研究分担者 |
古田 真里枝 京都大学, 医学研究科, 教授 (20390312)
大西 舞子 京都大学, 医学研究科, 技術職員 (50779262)
山田 重人 京都大学, 医学研究科, 教授 (80432384)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 周産期 / メンタルヘルス / 不妊治療 / 生殖補助医療 / 助産 |
研究実績の概要 |
日本における不妊治療の実施率は高い。不妊治療や生殖補助医療(ART)治療を受けた妊産婦が育児困難感やメンタルヘルス問題に直面しやすいことが臨床的に認識されているが、これら生殖を補助医療がメンタルヘルスに悪影響を与えるかどうかの研究は不十分であり、日本人妊産婦を対象とした研究が求められいた。本研究では、日本人のローリスク妊産婦を対象とし、妊娠に至る経過別に妊娠初期から産後1ヶ月までの間の心理指標の変化を追った前向きコホート研究である。研究開始当初がコロナ感染症流行初期であったため、リクルート期間を延長したものの、十分な対象者をリクルートすることができないまま、2022年12月にデータ収集を終了した。妊娠初期・後期・産後の調査回答を分析し、妊娠初期の回答者が160名、妊娠後期まで回答者が91名、産後まで回答者が68名であった。産後まで回答した68名のうち、自然妊娠と一般不妊治療を含むnon-ART群が40名、高度生殖補助医療群が26名であった。非治療群(non-ART群)とART群のGAD-7、EPDS、IES-R、産後の医療機関への相談件数を比較したところ、有意な差を認めることはできなかったが、ART 群の初産婦ではスコアが高い(悪い)傾向が見られた。また、妊娠初期と産後1ヶ月において現時点での不安について自由記載を求めた結果の分析では、妊娠初期では両群とも不安の表出内容(妊娠継続など)や量に差がなかったが、産後1ヶ月では両群とも母乳育児や児の栄養法に関する不安を表出していたものの、ART群においての記載量が少なかった。また、両群とも、メンタルヘルス指標のスコアが高い(状態が悪い)妊産婦ほどなにも記載していない傾向があった。周産期医療における看護者は、これまで同様に妊娠経過に注意しつつ、表出が「ない」妊産婦に対して注意深く関わっていく必要があることが示唆された。
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