2022年度の成果:1)助産記録(全体像と助産の方向性)の分析とを行い、学生6名それぞれの1例目から8~10例目(最終事例)までの変化およそ3つの類型(①例数に従ってバランスよく記録内容が徐々に含まれるようになるタイプ②産婦の観察による情報や個別性のある情報、計画が最後まで少ないタイプ③例数によるばらつきが大きいタイプに分類できた。 2)報告の習熟プロセスとの関連 報告の習熟プロセスと比較すると、4から7例目の中盤になっても「産婦の様子、胎児や家族の情報」が全体像の用紙に取り込まれない学生は報告内容や行動計画にも産婦の様子等を総合的に判断することができないことが想定される。行動計画については、用紙がアセスメント中心の記述になりがちのため、限界があるが、収集した情報や根拠に基づく行動計画というよりも、標準的な助産計画が主体で、産婦の様子や個別性が反映されていない傾向があった。次に評価表原案に関する臨床指導者の意見を2施設合計5名の臨床指導者に対して、助産実習後の時期に施設ごとにグループインタビューを実施し、「「タイミングよく」「簡潔」「優先順位」かなり難しい。」等の意見を収集した。 3)評価表原案を修正し試案を作成した。 研究全体の成果:本研究では、助産学生の分娩介助実習での報告の習熟プロセスを臨床指導者のインタビューにより明らかにし、そのプロセスを基に「報告の評価表原案」を作成、23名の助産学生に1例目と最終事例について評価してもらい、その結果をさらに臨床指導者に示して、評価表への修正案への意見を収集した。最終的に「分娩介助実習の報告の評価表試案」を作成した。構成は方法について「報告内容を自分で組み立てて報告できる」等2項目、内容について「産婦の観察など多様な複数の情報が伝えられる」「一般的でなく産婦の個別性を踏まえた内容を伝えられる」等6項目である。
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