研究課題/領域番号 |
19K11037
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
山本 美智代 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (00269515)
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研究分担者 |
中川 薫 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00305426)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トランジション / 移行 / 重症心身障害者 |
研究実績の概要 |
本研究は2019年,2020年の間に2つの研究課題についてデータ収集を進める計画であった.【研究課題1】小児医療から成人医療に移行する際に,施設間で生じる問題の構造を明らかにする.さらに,この問題について地域性があるか,首都圏と地方を比較する.【研究課題2】小児医療から成人医療に移行する際の重症者心身障害者(以下,重症者)の家族の心理的プロセスを明らかにし,首都圏と地方を比較する. 2020年度の進捗状況は,【研究課題1】については医療機関が新型コロナウイルス感染症対応のために調査が難しいことが予測されたため,研究が進んでいない. 【研究課題2】については,東海,中部地方の研究協力者に研究の依頼を行い,オンラインによるインタビュー調査,またはインタビュー内容を調査票に記載してもらい,返送してもらう方法で回答を得た.調査の結果,静岡県、愛知県の重症者10名から協力を得た.重症者の年齢は18歳~32歳,小児科から成人科に完全に移行できたのは3名であった.移行先は訪問診療が2名,地元のクリニックが1名であった.その他,1名は一部の処置については地元のクリニックに移行できたが,呼吸器を使用しており,呼吸に関するフォローは移行ができなかった.移行できない重症者は6名であった.移行していない理由では,「医師から促されていない」1名,「促されたが移行先の探し方がわからない」1名,「促されて気持ちの整理がつかない」2名,「促されて移行先を探したが,断られてしまい断念した」2名という結果であった. 静岡,愛知県在住者の調査では,移行先として「地元クリニック」を選択した重症者がいた.2019年度に首都圏で行った調査では皆無であり,移行先の選択肢の考え方が首都圏と地方で異なる可能性が考えられ,引き続き成人医療の考え方やフォロー体制について詳細な分析を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究課題1】小児医療から成人医療に移行する際に,施設間で生じる問題の構造を明らかにする,についての進捗が遅れている.研究課題1の研究対象は,移行に向けて調整している小児科外来の看護師や相談室のケースワーカー,反対に成人医療側の看護師やケアマネージャーである.小児医療側,成人医療側の双方に2019年度,2020年度で各10名,合計20名の調査を予定していたが,病院側が新型コロナウイルス感染症の患者対応による多忙が予測され依頼ができていない.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も新型コロナウイルス感染症対応として医療が逼迫することは予測される.そのような状況の中で,研究対象査者のリクルート方法について,看護部などの管理部門を通して依頼することは難しいと考えられる.便宜的抽出法を用いて知人に依頼を行い,その知人からスノーボールサンプリング法を用いて,研究候補者に声をかけてもらってリクルートを進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は地方の重症者を対象に調査を計画していたが、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が首都圏に発令されたため、地方を訪問してインタビュー調査ができず、それに関わる旅費、文字起こしなどの経費の出費がなかったためである。 2021年度も地方の重症者を対象にしたインタビュー調査は難しいと考えられるため、オンライン上でインタビュー調査を引き続き進めていきたいと考えている。
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