本研究は研究3年計画であったが、新型コロナウィルス感染症の影響で1年延長し、2022年度が最終年度(研究4年目)となった。新型コロナウィルス感染症蔓延の収束状況を鑑みて、2020年度(研究2年目)に予定していたが実施できなかった現地調査について共同研究機関であるビルゼイト大学と調整し、パレスチナでの青少年を対象とした現地調査を実施した。 「ヘルスリテラシーや学校保健活動参加がパレスチナ人生徒の就学継続に与える影響」というテーマに基づき、新型コロナウィルス蔓延時において、高校生がどのようにして健康に関しての知識を実際に活用しながら健康に留意して生活し、オンラインも含めての学業を継続するよう取り組んだのかということに調査内容を再設定した。 調査の対象は、新型コロナウィルス感染症蔓延時に最も影響を受けた現在の大学1・2年生(当時の高校生)を対象とし、ビルゼイト大学で実施した。調査方法は、質的研究手法のフォトボイス手法を用いた。フォトボイス手法はパレスチナで用いられたことがほとんどないため、本研究では、テーマに沿った写真を撮影して持ち寄り、撮影者はその写真の背景にある個人の心情や経験を説明してもらい、その結果をまとめていくこととした。2022年度で本研究は終了となるが、今後もデータの分析と考察は継続し、論文としてまとめて発表することを目指している。 また、2019年度から取り組んできた中東地域における青少年のヘルスリテラシーに関してのシステマテックレビューについては、新型コロナウィルス蔓延下においてヘルスリテラシー関連の論文が多く発表されてきた状況を鑑み、2022年9月末までに発表された論文について分析して論文にまとめ、国際学術誌に投稿した。
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