研究課題/領域番号 |
19K11046
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
齊藤 麻子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (20326127)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療的ケア / 援助要請 / 在宅療養児 / ソーシャルサービス |
研究実績の概要 |
医療的ケア児を在宅療養する保護者は、日々の育児に加え、通院・療育、医療的ケアへの対応等で負担感が高いことから他者からの支援へのニーズが高く、また医療・福祉・教育の専門職種とのかかわりが多いことからソーシャルサービスに関する情報や知識を得やすい立場であると考えられる。そのため、健常児の保護者に比べてソーシャルサービスの利用には積極的であると考えられたが、既存のソーシャルサービスを利用していない割合が約6割と高く、既存のソーシャルサービスが保護者のニーズに合致していないという理由のほかに、医療的ケア児の保護者の援助要請スタイルの傾向、援助要請への意志の要因が養育負担感と関連しているのではないかと考えた。生活上の困難があったり養育負担感が高かったりしても、専門職などのソーシャルサービスへの援助要請を回避する傾向のある保護者は、在宅療養における育児負担がさらに増大したり、社会的孤立につながるなど、保護者のみならず子どもにとっても問題が更に深刻化したりする可能性があるため、適切な援助要請行動を促進して行く必要があると考える。 そこで、本研究では、在宅療養を必要とする子どもの保護者の養育負担度と援助要請スタイルの特徴とソーシャルサービスの認知との関連から、ソーシャルサービスへの援助要請行動に関する構造モデルを明らかにすることとした。養育負担が高い保護者の既存のソーシャルサービスへの援助要請行動の特徴が明らかになることで、医療的ケア児の在宅療養におけるサービス・ギャップの解消に向けた示唆が得られると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、コロナ禍における移動制限があり、本研究で調査の対象となる障害児施設等への訪問に制限があり、更に感染対策による業務過多により調査説明や依頼等の準備が進まない状況であった。 2021年度は、調査対象施設となる障害児施設との連絡を開始し、調査方法の説明、調査依頼を進め、近隣県を中心に調査可能施設約20施設への調査用紙の配布依頼ができ、調査を開始した。対象施設の利用者から、調査用紙の回答の返信が集まっており、データ入力、分析を開始した段階である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、調査用紙の回収の最終段階であり、最終締め切り(6月末)次第、分析を進め、結果を示していく予定である。医療的ケアを必要とする在宅療養児(0~18歳)を家庭で療養している保護者に対する主な調査内容は、①子どもの年齢と在宅療養期間、②医療的ケアの項目、③ソーシャルサービスの認知と利用状況、④保護者の養育負担度、⑤援助要請スタイルであり、2022年度は調査結果の学会での発表と論文執筆を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における移動制限があり、本研究で調査の対象となる障害児施設等への訪問に制限があり、予定していた旅費・調査費用の支出が少なかったため。 今年度は、分析にかかる費用として支出していく予定である。
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