研究課題/領域番号 |
19K11046
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
齊藤 麻子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (20326127)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 医療的ケア児 / 援助要請 / 在宅療養児 / ソーシャルサービス |
研究実績の概要 |
在宅療養児をもつ保護者の「援助要請スタイル」と「ソーシャルサービス認知と利用」および「子どもの医療的ケア度」が「養育負担感」におよぼす影響を明らかにすることを目的に、医療的ケアを必要とする在宅療養児(0~18歳)を家庭で療養している保護者に対して、無記名自記式質問紙による調査を行った。主な調査内容は、①子どもの年齢と在宅療養期間、②医療的ケアの項目、③ソーシャルサービスの認知と利用状況、④保護者の養育負担度、⑤援助要請スタイルとした。全国約20の障害児施設に調査用紙を配布し、記述統計と関連モデルの検証を行った。 104人の保護者から回答を得て、対象となった医療的ケア児の年齢はAve.8.9±4.9歳、在宅療養期間は7.8±4.9年であった。子どもの主な疾患は、神経・筋疾患が57%で、医療的ケア内容は、経鼻・胃ろうによる経管栄養が71%、痰の吸引が53%、酸素吸入が35%、気管切開が35%、人工呼吸器が27%であり、一人当たりの医療的ケアの項目数はAve.3.5±2.1、重症児スコアから算出した医療的ケア度はAve.18.3±13.8点で、回答者の養育負担感尺度(75点満点)は、Ave.46.3±11.6点であった。「医療的ケア度」は、「養育負担感」「ソーシャルサービス認知・利用」との関連で有意な正の相関(rs=.26~.62,p<.05)が認められたが、「援助要請スタイル」は、「養育負担感」「ソーシャルサービス認知・利用」との関連が認められなかった。医療関係者への援助要請〈過剰型〉得点が高い保護者は「養育負担感」が低く、配偶者・家族への〈回避型〉得点が高いと「養育負担感」が高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、コロナ禍における移動制限により、調査の対象となる障害児施設等への訪問に制限があり、調査着手が進まない状況であった。2021年度から、近隣県を中心に調査可能施設への調査を依頼し、質問紙調査を開始した。2022年度は、回収データの分析を行い、記述統計・相関による分析と、援助要請スタイル分類別に仮説モデルに基づく4モデルを仮定した共分散構造分析を行ったが、最終的な結果の分析には至っていない。分析の途中経過を日本小児保健学会にて発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ソーシャルサービスの認知と利用に関する自由記載部分の分析を進め、「援助要請スタイル」と「ソーシャルサービス認知と利用」および「子どもの医療的ケア度」が「養育負担感」におよぼす影響について更に詳細な分析を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は業務過多により収集した量的データの分析のみとなり、質的データの分析に至らなかったため、質的データ入力等にかかる経費の使用できなかった。2023年度は質的データの分析のための助成金の利用とし、最終年として量的データとの総合的な結果の分析を図る予定である。
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