本研究では、助産師外来担当者の実践力の向上を目指したe-ラーニング教育プログラムを構築し、その評価を行った。研究者の先行研究によって開発した助産師外来用ルーブリックとGibbsのリフレクションサイクルを活用し、卒後教育プログラムを作成することが困難な小規模医療機関でも活用できるプログラムとした。プログラムの開発には、インストラクショナルデザインであるADDIEモデルを活用し、ニーズの評価と分析・デザイン・開発・実施・評価の各段階を検討した。ニーズの評価と分析は、健康関連QOL (SF-36v2)を用いた妊婦300人を対象とした調査および助産師10名からのヒアリングを実施した。健康関連QOLでは、国民標準値データと比較し高得点であったが妊婦の個人差が大きく、多様性への対応が求められること、また助産師へのヒアリングでは、日常業務に追われる、他者からの評価を受ける機会がない、自己の実践を振り返る機会が欲しいというニーズがあった。デザインとして、ゴールを「リアリティを追求した体験学習からセルフリフレクション能力を育成する」と明確化した。学習後、自己の実践をリフレクションし、他者からのフィードバックを受け入れるという学習コースを設計をし、実施した。e-ラーニングコンテンツ内容は、①助産師の実践力とは ②助産師の実践力を高めるために ③臨床推論 ④ルーブリック ⑤リフレクション ⑥シミュレーションの6テーマである。評価では、e-ラーニング教育の受容性として、受講者全員が短時間での学習ができ、活用できるとした。その一方で、実践の場は多種多様な対象者が存在し、特に精神的なサポートや社会的な側面を考慮した個別事案への対応が難しいという課題があった。
|