研究課題/領域番号 |
19K11055
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
森 浩美 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40532205)
|
研究分担者 |
矢田 しずえ 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70865443)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 訪問看護 / 在宅療養 / 終末期看護 / 子ども |
研究実績の概要 |
研究目的は、終末期にある子どもと家族の在宅療養を推進・支援する訪問看護実践を同定することである。2019年度は終末期を在宅で療養する子どもと家族、訪問看護の実態を把握するための調査を行った。調査方法は郵送による無記名自記式アンケート調査とし、全国の訪問看護ステーション2700施設に調査票を配付した。調査内容は施設の所在地、設置主体、従事者の数及び職種、連携する医師数などである。加えて、小児の利用者数、年齢、疾患、訪問回数、連携する小児科医師数、終末期にある小児の訪問看護経験などとした。401施設から回答が得られた(回収率14.85%)。そのうち小児の訪問を行っているのは159施設、過去1年以内の利用者数は1-5名100施設、直近1か月の延べ訪問回数は1-5回27施設などであった。終末期の小児の訪問看護経験は23施設が「ある」と回答し、疾患は悪性腫瘍や遺伝性・染色体異常などであり、看取り経験は1-5症例が14施設であった。看護内容はバイタルサイン測定、食事や排泄などの生活支援、在宅酸素療法、家族への精神的援助などであった。小児の訪問を行っている施設において、「小児看護経験者が不足、もしくは、全くいない」と回答したのは30施設であった。今回は回収数が少なく、全国の実態が明らかになったとはいえない。その中で、小児を担当している施設は少なく、終末期の看護経験については極めて僅かであった。わが国では看取りの場所を病院から在宅へと転換する政策が打ち出されてはいる。しかし、小児の在宅での看取りは進んでいない実態が確認でき、重要なデータを得ることができた。加えて、小児への看護経験が乏しい中で訪問看護が実践されている可能性が高く、終末期にある子どもと家族の在宅療養を推進・支援する訪問看護実践を同定することは急務であり、意義があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、全国2700か所の訪問看護ステーションに調査票を配付し、訪問看護の実態を把握した。それによって終末期にある小児の在宅療養、および訪問看護の実態が推測できた。そのため、今年度に予定していた調査はほぼ達成できたと考える。現在は今年度の調査結果を学会等での発表の準備を進めている。ただ、今回の調査は回収率の目標を30-50%に設定していたが、実際の回収率は目標を大幅に下回る約15%に留まり、結果の一般化には留意が必要である。今後は訪問看護ステーションの看護師を対象とした質的調査を行い、在宅で療養する終末期の子どもの訪問看護について詳細に明らかにしていく予定である。その調査によって今年度の結果を補完・確認していくため、大きな問題にはならないと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
研究2年目にあたる今年度は、終末期にある子どもの在宅療養を推進・支援する訪問看護実践を質的調査によって明らかにする予定である。対象は終末期にある子どもの在宅療養を支援した訪問看護ステーションの看護師としている。面接内容は昨年度の量的調査の結果をもとに検討する。研究を遂行する上での課題として、対象者の確保と面接の実施に苦慮する可能性が挙げられる。対象者の確保については、研究者がつながりをもつ病院や訪問看護ステーション等にアプローチし、対象者の紹介を依頼する。面接については、オンライン等を活用しながら実施したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査開始前に目標としていた回収数よりも少なく、郵便後納料金として計上していた額に満たなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は順調に助成金を執行していく予定である。
|