研究課題/領域番号 |
19K11060
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
佐藤 珠美 佐賀大学, 医学部, 教授 (50274600)
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研究分担者 |
野口 満 佐賀大学, 医学部, 教授 (00325648)
中野 理佳 佐賀大学, 医学部, 准教授 (80588707)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 妊産婦 / 排尿機能 / 尿失禁 / 前向き観察研究 |
研究実績の概要 |
2021年4月迄に262名から回答があり、全期間に回答した205名を分析対象とした。平均年齢31.6±4.5歳(初産30.7±5.0 経産32.2±4.0)。 産後の尿失禁有は、産後1か月54名26.3%、産後3か月50名24.4%、6か月63名30.7%で、初経別で有意差は無かった。全期間で尿失禁無は121名59.0%、産後に1回又は2回尿失禁有は56名27.3%、産後1か月迄は無かったが3か月と6か月に新たに発症した人が11名5.4%と19名9.3%あった。産後1か月の尿失禁有54名中7名は3か月で消失したが、8名は6か月で再発した。産後1か月と3か月の尿失禁有39名中11名は6か月で消失した。全期間尿失禁有は28名13.7%あった。産後3か月と6か月の尿失禁タイプは、切迫型(5.5%、9.0%)腹圧型(80.0%、73.1%)、混合型(9.1%、6.0%)、その他(5.5%、11.9%)であった。産後6か月は経産婦が多かった(P=0.007)。 尿失禁と排尿行動との関連で尿意を感じる前の排尿が産後3か月26.8%、6か月26.3%あり、6か月で有意差があった(P=0.004)。腹部を占める習慣有は産後3か月29.3%、6か月23.9%で、6か月に尿失禁有が多い傾向があった。250名中産後3か月と6か月の珈琲58.5%・63.9%と緑茶63.9%・43.9%の摂取、運動習慣19.5%・23.9%、母乳哺育有87.3%・77.0%、産後6か月の月経再開有52.5%であったが、尿失禁との関連はなかった。 産後入院101名の産後4日の平均残尿量123.1±87.2ml。151ml以上は36名35.6%あった。151ml以上の残尿の割合は、自然分娩に36.9%、吸引分娩に11.1%、帝王切開術に50.0%あり、産後1か月では151ml以上群に尿失禁が多くなっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
入院中を含む7回の調査を地域周産期母子医療センター2施設、診療所1施設でを行っている。また、入院中を除く6回の調査を8診療所で行ている。現在、産後入院中、産後3か月、産後6か月、産後1年の調査が継続している。コロナ禍での協力者の減少により調査期間が長引いている。さらに婚姻、妊娠出産育児期は転院、転居(1~3回)が多いこと、長期の里帰りも増えている等により追跡も難しくなっている。2021年5月末に最後の登録者2名が出産予定である。産後3か月と6か月では8~9割の回答が得られ、産後1年の調査は開始したばかりである。登録者に定期アンケートを送るとともに、妊娠期の速報を送った。
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今後の研究の推進方策 |
産後入院中、産後3か月、産後6か月、産後1年の残された調査を実行するとともに、尿失禁に関連する要因について多変量解析等を行う。産後3か月、6か月までの成果を2021年10月と2022年3月の学会で発表する予定である。2022年5月迄にはすべての調査が終了するため、計画変更はしない。産後3か月、6か月、1年と段階的に結果の分析を進め、報告書の作成、学会に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、調査が遅れ気味になったこと、オンラインでの学会発表に切り替わったこと等があり、物品費や旅費等を使わなかったが影響している。これらは、研究成果を広く公開するために、ホームページでの情報提供や報告書の作成等に使用する。
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備考 |
妊娠から産後1年までの排尿機能の変化と尿失禁の発症に関する前向き観察研究の基本統計結果を公開している。
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