研究課題/領域番号 |
19K11064
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
千原 裕香 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (50738408)
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研究分担者 |
西村 真実子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (50135092)
金谷 雅代 (東雅代) 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (80457887)
山田 ちづる 石川県立看護大学, 看護学部, 助手 (90832915) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 親になること / 高校生 / 子ども虐待防止 / 世代間交流 / ライフストーリー / 自己肯定感 |
研究実績の概要 |
改良版「親子交流を通して親になることを考える」プログラムの実施協力が得られた6つの高校でプログラムに参加した高校生1,295名を対象に、ベースライン開始時、ベースライン終了時かつ介入開始時と介入終了時の計3回の無記名自記式質問調査を行った。外生変数として学年、性別、家族形態、乳幼児との接触経験の程度、被愛情感を、評価指標として親世代になることに対する意識尺度(千原ら,2019)と、サイコドラマ効果測定尺度(谷井,2012)の下位尺度「自己肯定感」「自己の再認識」「普遍性」を調査した。また自分が「親になること」について感じたことを自由記載による回答を求めた。 2020年度はデータ分析・論文執筆を行った。 調査の結果、回収数は1,253名(回収率96.7%)、有効回答数は878名(有効回答率68.8%)であった。改良版プログラムを通して、高校生は、自己肯定感が向上し、子どもや子育てに対する関心や肯定的な感情が高まり、社会の一員として夫婦や社会全体で子育てする意識が芽生えていたことが確認できた。また自由記載の質的分析により、改良版プログラムは高校生にとって自分に引き寄せて「親になることを」考え、前向きに捉える機会になっていたことが示唆された。改良版プログラムには、高校生の将来の子育てに対する不安を軽減する効果はなかったが、不安を高めてしまうこともないことが確認できた。さらに、被愛情感が不十分な生徒は、改良版プログラムにより、強いストレスを感じ不安を高めることなく、「親になること」について考え、自己肯定感を高めることができていたことが分かり、改良版プログラムには負の世代間伝達を抑制するファーストステップとなる可能性があることが確認できた。 本研究の成果に関して、2020年度日本子ども虐待防止学会大会企画シンポジウムで紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は順調に進展している。ただし、成果発表に関して2020年度に国際学会での発表を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で学会延期となっており、予定より遅れている。2022年度の国際学会発表を目指し、2021年度に準備を進める。
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今後の研究の推進方策 |
自由記載に関して、計量テキスト分析を実施しているが、まだ分析中である。生徒の背景(被愛情感の違いなど)によって、プログラムにより「親になること」について感じたり考えたりしたことが異なることが推察されるため、プログラム終了後に記載してもらった自由記載データについて計量テキスト分析により明らかにする。 成果発表に対して、国際学会発表、論文投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会発表のための旅費を計上していたが、新型コロナウイルス感染症のため学会参加を延期したため次年度使用が生じた。 次年度以降に国際学会発表行う予定であるが、オンラインでの参加となることが予測される。そのため旅費として計上してある分は、ホームページ作成の委託費と計量テキスト分析のサポート業務を外部委託するための費用として使用する予定である。
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