研究課題/領域番号 |
19K11075
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕子 杏林大学, 保健学部, 教授 (80265769)
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研究分担者 |
高橋 真理 順天堂大学, 医療看護学研究科, 特任教授 (20216758)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 父親 / 産後うつ / 一時予防 / 周産期メンタルヘルス / ペアレンティングプログラム / 教材開発 / 乳児の泣き / 夫婦のコミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、父親の産後のメンタルヘルスの問題を予防し親役割への適応を促すために、①出産前から育児の学習に夫婦で取り組むことを重視したペアレンティングプログラムを開発すること、②Web教材と対面式少人数クラスにより妊娠期から継続的に介入し、③産後のメンタルヘルスへの効果を準実験研究により検証することである。 2019年度は、目的①の父親に焦点を当てた出産前からのペアレンティングプログラムを開発するための第1段階として、情報収集とニーズ分析を開始した。 情報収集は、周産期メンタルへルスの研究および予防的介入の進んでいるオーストラリアにおいてモナッシュ大学が主催した研修「Professional Development Symposium in Women’s Health Professionals」において、①豪州における周産期メンタルへルスに関わる最新の一次予防プログラム(新生児を持つ両親の心理教育プログラム、周産期メンタルへルス予防のためのリソース、周産期のバイオレンスとその予防プログラム等)のレクチャーを受けた。その結果、周産期メンタルヘルスにはジェンダーが深く関わっており、その規範を変え、固定概念に捉われない平等なパートナーシップ形成を促す介入プログラムの開発の必要性や教授方略の工夫など、本研究の日本人の父親への気づきを促すプログラム開発(教材開発)にも活用可能である点が複数確認された。 ニーズ分析は、はじめて子どもを持つ男性を対象とし、育児中の父親の悩みや心配事、出産前教育等に求める支援について明らかにすることを目的とし、機縁法により対象を募集し、半構成的面接を行い、結果を分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は当初、ペアレンティングプログラムの開発として、①分析、②プログラム設計、③Web教材の開発、④教材の配信、⑤教材の有用性評価を順次行っていく予定であった。職場でのエフォートが変わったことと、父親のリクルートに時間を要したこと、COVID-19の蔓延により予定していた対面式の面接ができなくなったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の実施計画は、以下の手順でプログラム開発を行う。 ①ニーズ分析:インタビュー方法をWeb面接に切り替え、対象を10名程度にまで増やし父親のニーズ分析を行う。 ②プログラム設計:①で明らかになったはじめての育児の経験で感じる父親の育児困難感やストレス、求めるニーズに対応したプログラムを構築し、学習目標と教育内容を検討する。 ③開発:オンライン教育を実施するためのWeb教材の製作と学習システムの設計、学習展開の検討を行う。 ④実施:完成した教材を産後1ヶ月頃の初産の夫婦10組に視聴してもらい、学習を促す。 ⑤評価:④の対象による教材の形成的評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進度が遅れたため当初教材開発に予定していた必要経費がかからなかったため。 2020年度は2019年度分とあわせて①Web教材開発に関連して必要な器材の購入、HP制作費・維持費、②プログラムの実施と評価に必要な調査票の印刷費と郵送費、謝礼、③成果発表に必要な旅費として使用する予定である。
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