研究課題/領域番号 |
19K11078
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研究機関 | 日本赤十字豊田看護大学 |
研究代表者 |
長田 知恵子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 准教授 (30458393)
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研究分担者 |
野口 眞弓 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (40241202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 母乳育児 / 教材開発 / 搾乳 / 乳房モデル |
研究実績の概要 |
母乳で子どもを育てることは、多くの恩恵があることが知られている。その支援として、乳房マッサージや乳管開通や閉塞している乳管からの搾乳、授乳方法の指導が挙げられる。これらの技術は、教育的なプログラムがなく口伝であったり、さらに研鑽する適切な乳房モデルがない。また経験に裏付けされた知識や勘、伝え聞いたケア方法であることから、スタッフの育成が課題であるといわれている。以上より、母乳育児支援を行う看護スタッフが搾乳技術を習得するために、ターゲットとする乳管から模擬乳を排出させることができる搾乳モデルの開発が必要であると考える。 そこで本研究の目的は、母乳育児を専門的に支援する看護者によって必須技術である乳管閉塞部位に対する搾乳が適切に習得できる搾乳モデルを開発することである。この搾乳モデルの開発実現のために、これまでに開発した乳房の観察や乳汁分泌状態を体験できる初学者用搾乳モデルAを基盤とし、好発する乳管閉塞部位を調査に基づいて決め、より臨床で求められる技術が身に付けられるようにする。 さらに母乳育児支援の専門家育成のため、ターゲットとなる一部の乳管からの模擬乳の分泌ができているかを自分自身で確認できるように、模擬乳タンクを複数とするモデルにしたい。数値で可視化することにより、現在検討されている重症化乳腺炎に対する診療報酬に見合う高度な技術を持った母乳育児支援の専門家を育成する搾乳モデルの開発を目指す研究である。 調査方法は、調査①として、授乳期の母親における好発する乳管閉塞部位を特定するための実態調査を行う。調査②は、乳管閉塞に伴う乳汁うっ滞部位の形状を明確化する。これらのデータを基盤に、調査③として、業者に依頼し、試作品を作成、改良と検証を繰り返し、搾乳モデルを完成させたいと考える。さらに調査④では、母乳育児支援の経験年数相違による搾乳技術の習熟度を客観的データで示す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目は、当初の計画書に計画したように、調査①として母乳育児相談室に来院する母子を対象に、乳汁のうっ滞や乳腺炎の好発部位を調査する予定であった。そのため、調査するにあたり、倫理審査委員会の承認を得て、調査協力施設からの許可を得ることもでき、調査を開始した。現在は、1施設での調査を実施し、25件のデータを得ることができている。さらに、他の施設ともデータ収集の日程調整ができたことから、今後、さらに調査を進めていく。 また2年目に予定していた調査②についても、倫理審査委員会の承諾を得ることができた。そのため、調査協力施設長に依頼し、その施設長から推薦をしていただいた母乳育児支援に対して経験豊かな助産師に対し、調査内容の説明を行った。その結果、調査に該当する3名の助産師から調査協力の承諾を得ることができた。現在、このうちの2名の対象助産師半構成的インタビューを行うことができ、現在は、そのデータを分析している。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究者自身が外出自粛となり、県を超えての調査ができない状況が続いており、大学内でできる倫理審査などは終わったものの、データ収集に行けないことから当初予定していたよりも多少の遅れがある。さらに調査協力施設も母乳育児支援活動を自粛しているため、数件のみの調査該当事例が来院していない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染収束状況次第ではあるが、非常事態宣言が解除されたことから、調査協力施設でも徐々に活動を始めているため、今後、調査日程を調整していく。 今後の予定としては、対象施設が以前のように支援活動をはじめ、母乳育児支援を受ける授乳婦の来院に合わせ、以下のように調査を予定している。 調査①は、2施設での調査が進んでいることから、さらにデータ収集を進めていく。また他の施設に対しても、調査協力の依頼をし、データの収集を進めていく予定である。また調査②の予定としては、研究者が県境の移動が許せる状況となり、対面での調査が可能になり次第、3密を避ける工夫をしたインタビュー調査方法で協力施設に依頼し、調査を行っていく。さらに、これまでの3施設だけでなく、他の調査協力施設に依頼をすると共に、対象となる授乳婦もリクルートしていく。調査③④については、調査①の結果がわかり次第、業者の担当者と試作品の概要について意見交換をしていく予定である。 今後は、外出制限が以前に比べ緩和してきていることから、調査①および②についての日程調整を行い、調査を進めていく予定である。また先にデータ収集が終わる予定の調査①は、データが得られ分析ができた段階で、調査目的に見合う学会で発表をしていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時、この予算は、データ取集のための交通費および宿泊費として計上した。しかし今年度は、調査施設に対し、調査協力依頼をし、内諾を得た状態で、コロナ禍が起こってしまったことにより、実際のデータ収集が行えない状況となってしまった。本来行うべきであったデータ収集を今後、進めていくための費用としてあてたいと考えている。
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