研究成果の概要 |
本研究は身体的負担が軽減される授乳姿勢と乳児の哺乳状況を明らかにする。対象は生後1~5か月の乳児を持つ20~40代の母子32組とした。計測課題は座位前屈位,座位垂直位,リクライニング位における横抱き授乳動作とし、計測項目は授乳時での①母親の上肢筋群と乳児の舌骨上筋群筋電計測,修正Borg scaleによる身体負担の自覚強度とした。リクライニング位授乳姿勢では両僧帽筋,授乳側の上腕二頭筋,尺側手根屈筋筋活動が有意に低下し、修正Borg scaleも同様の結果であった。乳児の舌骨上筋群筋活動は姿勢による違いはなかった。リクライニング座位では僧帽筋や,前腕筋群の負担が軽減される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
母乳育児が可能になることは,多くの女性の希望を叶えることだけではなく,母子の長期的な健康にも影響することから,国の医療費抑制にも寄与すると考える。一方,母乳育児は同じ姿勢で昼夜を問わず行われるため,母親の安楽な授乳姿勢の確保は,母乳育児の継続を保証し,授乳時での母子の状態を運動学・運動力学的に分析することは母乳育児支援の一助となると考える。リクライニング位の授乳は僧帽筋を含めた上肢の筋活動を低下させることが明らかとなる本研究での結果は,肩こりや手首の痛みを有する際の授乳指導の選択肢になると考えられ、母乳育児の継続を可能とすることが示唆された。
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